誰も報道しないが『スタジアム・アリーナ改革ガイドブック』は面白い

山田 肇

6月15日に経済産業省とスポーツ庁が連名で『スタジアム・アリーナ改革ガイドブック』を発表した。

スタジアムやアリーナは「箱もの行政」の典型である。赤字を垂れ流すスタジアムを「我が国のスポーツの成長産業化を促進する起爆剤」に変えようというのが、このガイドブックである。集客力を高め、まちづくりを支える持続可能な経営資源とするために、顧客経験価値の向上、多様な利用シーンの実現、収益モデルの確立を進め、まちづくりの中核としてスタジアムが位置付けられるようにしようという。

公共が直接運営するのではなく整備の段階から民間の力を借り、公民連携の取り組みを進めていくべきであるとガイドブックは指摘している。また、運営に際しては情報通信技術、とりわけ観客の属性・価値観・嗜好・行動などに関するビッグデータ解析の結果を利用すべきだとしている。

出色なのは多様な事例が掲載されていることである。国内外の施設整備事例から始まり、高額席の設置、イベント開催、ラウンジなどの活用、ショッピングモールなどとの複合化といった収益改善・拡大事例まで、多くのページが事例紹介に費やされ面白い。

写真は日本ハムの報道発表から

同時期の6月29日に日本ハムが新球場建設構想を発表した。単なる新球場ではなく、スタジアムを核としたライブ・エンターテイメントタウンを目指すそうだ。日本ハムの構想は『スタジアム・アリーナ改革ガイドブック』と一致する。ガイドブックに沿って各地で改革が進めば、スタジアムは本当にスポーツの成長産業化を促進する起爆剤となるかもしれない。