就任から半年が過ぎたものの、引き続きトランプ米大統領や関係者のニュースが尽きない日はありません。7月21日のショーン・スパイサー広報部長兼報道官の辞任、スカイブリッジ・キャピタル創業者アンソニー・スカムラッチ氏の後任人事、ロシア問題弁護団の刷新(主任弁護士をマーク・カソウィッツ氏からジョン・ダウド氏に差し替え)など、前週末に目まぐるしい変化を引き起こしました。
24日に非公開でクシュナー上級顧問の公聴会を米上院情報委員会が開催し、翌日も下院情報特別委員会で証言に立つだけに、急ごしらえながら陣営を整えたかたちです。事前に公表された声明で”共謀なし”と明記していましたが、扉の向こうの公聴会でどんな質疑応答が繰り広げられるのでしょうか。26日予定のトランプ・ジュニア氏、元選対本部長のポール・マナフォート氏の公聴会は先送りされたとはいえ、8月第3週の休会前に開催される可能性が強い。2016年6月に行われたロシア弁護士との面談した関係者に対する追及の火の手は、逃れようにありません。おまけに、モラー特別検察官がトランプ氏のビジネスや関係者に捜査を拡大するとあっては、余計です。
個人的には、スムーズな語り口で知られる”ムーチ”ことスカムラーチ氏(本来の日本語表記はスカムラッチ氏)に期待したい。同氏は米大統領選で選対本部に参加した功績から、6月19日付けで米輸出入銀行のシニア・バイス・プレジデント兼最高戦略責任者に就任していました。経済協力開発機構(OECD)大使としても検討されていたのですが、結局は広報部長に収まったかたちです。トランプ氏の信頼の厚さは折り紙付きで、本来は広報部長として首席補佐官すなわちプリーバス氏に報告の義務を負うところ、彼を越えて直接トランプ大統領に行うのだとか。注目のスカムラッチ氏は早速、過去の一部ツイッターを削除する方針を発表するなど興味深い動きを見せてくれています。
(出所:Twitter)
トランプ米大統領のツイッターいわく”情報漏洩しかしていない”ものの、自身の恩赦について代理人と相談中と報じられている点も、見逃せません。Voxによると、一部の専門家は「憲法に明記されていない案件であり、自身への恩赦への生涯は”弾劾”と”国家権力”だろう」と指摘していました。
ちなみに、過去の恩赦として”スクーター・リビー”のあだ名で知られブッシュ大統領(息子)の補佐官兼チェイニー副大統領の首席補佐官だったルイス・リビー氏が思い出されます。イラクがニジェールからウランを入手していた疑惑から端を発したプレイム事件で偽証罪となったリビー氏は、時のブッシュ大統領から恩赦を受けました。当時、裁判開始から判決が出るまでに約1年半掛かった事情を踏まえると、先の長い話であります。サタデー・ナイト・ライブで見せたスパイサー前報道官のモノマネで人気を博したメリッサ・マッカーシーはお役御免ですが、トランプ大統領を演じるアレック・ボールドウィンは、まだまだ安泰?
(カバー写真:Youtube/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年7月24日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。