14日に発表された2017年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は実質で前期比0.1%増、年率換算で0.5%増となった。事前予想は下回り、前回7~9月期の2.2%増に比べると小幅な伸びに止まったものの、プラスは8四半期連続となり、1980年以降では約28年ぶりの長さとなった。
自動車の売れ行きや外食が好調だったことなどから個人消費は0.5%増と2四半期ぶりのプラスに。また設備投資も0.7%増と5四半期連続でプラスとなった。それに対して住宅投資は2.7%減。公共投資は0.5%減となっていた。
物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比0.0%の上昇。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.5%の上昇となった。
GDPは過去の数字でもあり市場への影響は限定的となっていた。しかし、日本の景気拡大が継続していることを確認できた格好となっている。ただし、物価は引き続き抑えられている。
ここにきての東京株式市場は米国株式市場の調整を受けて、下落トレンドとなっているが、今回のGDPをみてもわかるように、景気の落ち込みや新たなリスクの顕在化などが調整要因となっているわけではない。むしろ、世界的な景気拡大により、物価への上昇圧力も強まり、米長期金利の上昇などが調整のきっかけとなっている。しかし、いまのところはファンダメンタルに基づいた金利上昇ともいえることで、これが景気に水を差すことは考えづらい。もちろん米国債の発行増などによる需給悪化懸念はあるものの、それでもいまのところ米長期金利は3%にも届いていない(14日に2.92%まで上昇)。
米国株はひとまず下げ止まりともなりつつあり、ここからはあらためて世界的な景気拡大を材料に戻りを試すことも予想される。為替の動きなど気になるところではあるものの、ゴルディロックス(適温)経済は継続していることがあらためて意識されて、次第に底堅い動きとなってくるのではなかろうか。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年2月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。