18歳成人、酒・タバコも解禁へ

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「18歳選挙権」に合わせて「18歳で成人」へ

8月31日、自民党の成年年齢に関する特命委員会は、2016年夏の参議院選挙から「18歳選挙権」が実現することを踏まえ、「成人年齢」についても20歳から18歳へと引き下げるよう求める方針を固めた。
民法の成年年齢に合わせて、飲酒年齢や喫煙年齢についても18歳に引き下げる他、競馬や競輪などの公営競技についても18歳から購入が可能となり、「20歳で成人」という国内の法制度全体がそのまま「18歳で成人」へと引き下げられる方向になりそうだ。
これに合わせて少年法の適用年齢も20歳未満から18歳未満へと引き下げられるようだが、18・19歳の若者に対しては「若年成人(仮称)」といった位置付けで、成熟度に応じて刑法の適応可否を決めるなどの保護策も導入するとのことだ。
これまでデジタルに子どもと大人を20歳で分けていたものを、段階的に年齢に合わせた社会制度を創っていこうという方向には個人的にも共感する。
こうして18歳はますます「大人」として扱われていくことになるわけだが、むしろ注目しなければいけないのは、この「大人」となる18歳を主権者として、また参画の主体としてどのように扱っていくかである。

自民党成年年齢特命委員会が若者30人にヒアリング

これに先立って8月26日、自民党本部で成年年齢特命委員会が開かれているのだが、その際、20歳以下の若者30人が招かれ、公式にヒアリングが行われた。
委員長は今津寛(衆院議員・元防衛副長官)、委員長代理は平沢勝栄(衆議院議員)、この他にも礒崎陽輔(参議院議員・内閣総理大臣補佐官)と、大物や話題の議員を含む10人以上の国会議員が並ぶ。
厳粛な雰囲気の中、参加した高校生・大学生たちは、「高校を卒業したら自立できる年代であり、飲酒なども高校卒業で解禁で良いと思う」、「権利と責任という面では18歳にすべき。お酒やたばこは医学的見地から決めるべきではないか」、「肉体的には障害が起こるかもしれない飲酒、喫煙は20歳からにすれば、身体的な危険というのは避けられるのでは」、「18歳は就職や進学で人生の選択をする年齢で、これを節目に大人として扱うべき」など、自らの考えとその理由について、堂々と発言していた。
民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げた場合、飲酒・喫煙を禁止する年齢も「18歳未満に下げるべきだ」との意見が多かったが、一方で、「高校から大学へ進学した際の生活の変化の方が大きいため、18歳になった後、初めて迎える4月に解禁するべき」、「肉体的に障害が起こり得るので現状を維持した方がいい」との意見もあった。参加した若者の最年少者は中学2年生だった。
この様子は、NHKニュースのほかテレビ朝日のニュースなど多くのマスメディアで取り上げられた。

自民党が政策決定プロセスに若者を参画させたことの意味

今回の取り組みは、私も呼びかけ人である日本若者協議会準備会が、特命委員会から依頼を受け、高校生・大学生など20歳までの若者を30名限定で公募で集めて、開催までたどり着いた。
日本若者協議会準備会は、これまでにも若者の意見を政党の政策に反映するためのプラットフォーム「日本版ユース・パーラメント(若者議会)」を維新の党や公明党などと実施してきた。この秋には、自民党とも開催する予定だ。
こうした若者自身が、現在の政策課題を発見、議論し、自らその解決策を立案して政党側に提言、さらにその実現に向けて、政党側と協議していく仕組みには、大きな価値があると思っている。
一方で、今回のように、現状で解決しなければならない喫緊の課題のうち、若者に関係する政策については、若者から意見を聞くような仕組みができれば、この国の若者の声の政策への反映は、大きく進むことだろう。
2010年にスウェーデンを視察した際、若者の利益代表組織として政府と政策協議を行うLSU(全国青年協議会)の仕組みに、若者参画の大きな可能性を感じた。
LSUは、若者に関する様々なNPOなど76の組織が加盟する連合組織であり、傘下には、生徒会の全国組織や、地域で若者を参画させる団体の全国組織、日本でいうところの「自民党青年部」のような政党青年部も加盟していた。スウェーデンには約150万人の若者がいるが、その1/3にあたる約50万人が、このLSU参加団体の延べ会員数になる。
スウェーデンでは、若者に関わる政策を実施、または変更する際には、必ず若者の声を聞くことになっており、関係省庁からこのLSUが意見を求められるほか、政策策定に最初からコミットするケースもあるとのことだった。
LSUの代表は当時20代の女性だったが、政府と協議する際には、「若者側が代表者を出しているので、カウンターパートはこの分野の代表である大臣になる」、また、「国連の会議では各国の首脳を前にスピーチをする」と話していたのが非常に印象に残っている。
日本でもようやく選挙権が世界標準の18歳へと引き下げられた。一方で、単に選挙権を引き下げるだけに留まらず、その後の政策形成への若者参画の仕組みを作っていくことが求められる。
若者協議会準備会が目指す理想は、まさにこのスウェーデンのLSUのような仕組みだが、そのためには、政府にも協力してもらう必要がある。
現実的なところから若者の声を反映するべく、政党の政策形成への参画プラットフォームを作っているわけだが、その意味でも、今回、政権の中心政党である自民党が実施したということ、また、喫緊の課題になっている成年年齢引き下げ関連法案の検討に、幅広く集めた若者の声に、自民党が直に耳を傾ける取り組みが行われたことには、大きな価値があるのではないかと思っている。
秋の臨時国会中には、自民党とも「日本版ユース・パーラメント」を行う。また、今後は、自治体と若者との政策形成・協議の仕組みについても取り組んでいこうと思う。
今回の取り組みをその一つのモデルとして、今後も活動の幅を広げていきたい。