「就活ルール廃止」は表層の一部分。労働市場の流動化を

音喜多 駿

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

4日午後はJFN系ラジオ番組「Seasoning」に再びお声がけいただき、出演して参りました。今回は乙武洋匡さんの代打です。

毎週「おとたけが斬る!」という時事コーナーがあるそうで、それも今週は「おときたが斬る!」にバージョンチェンジ。なんか、ほとんど字面が一緒だな!(笑)

話題になっている政治経済系の時事ネタを取り上げて語って欲しいということで、「就活ルール廃止」について持論を述べさせてもらいました。

経団連加盟企業については、採用スタートが現在は6月1日からとなっているようです。私の時代(約15年前)は4月1日からだったな…。

しかしながら、経団連未加入企業や外資系企業はずっと前に採用活動をスタートしているわけで、この「ルール」は形骸化も指摘されてきました。

私の意見としては、就活ルールの廃止は望ましいことであるものの、雇用環境を取り巻く問題の一端に過ぎず、ぜひ労働市場全体を考えるきっかけにしていただきたいというものです。

そもそもなぜこのような時期的な「ルール」が必要なのかと言えば、日本の多くの企業は世界的に珍しい「新卒一括採用」システムを採用し、入社日が大学卒業後の4月1日となっているからです。

そこで一斉に入社させるために、選考時期も必然的に重なってくるわけです。

内定式やら入社式というのは私たち日本人にすれば当たり前の光景ですが、世界的に見れば決してスタンダードではなく、学生は大学卒業後にストレートに企業に入らないケースも多々見られますし、それに応じて企業も通年採用を行っています。

ところが我が国では、「新卒」というのが大企業・正社員という王道ルートに入るほとんど唯一の道になっており、そこから外れた人には厳しい目線が注がれます。

仮に日本で大学卒業後に2~3年、特に強い理由もなく勉強や旅行などをして過ごした後に大企業の面接に行けば、厳しい質問が飛んでくることは間違いないでしょう。

こうした「レール」に日本企業が若者たちを乗っけなければいけない理由は、「年功序列・終身雇用」にあることは言うまでもありません。

出ていく年齢や昇給スピードが決まっているんだから、入ってくる年齢・時期もできるだけ揃っていないと困るわけですね。

新卒採用を柔軟化して通年採用をするとすれば、当然採用した分だけ、やめさせる人が出てくる可能性があります。ところが現在の日本の雇用慣行では、金銭解雇ができない。

これが雇用・労働市場が硬直化させ、日本の経済成長の壁になっていることは疑いなく、私自身は議員になる前から「雇用の流動化は経済政策の一丁目一番地」と主張しています。

ただこうした政策提案は「新自由主義だ!」「雇用の切り捨てにつながる!」と労働組合・正社員の方々を中心にたいへん評判が悪いので、なかなか受け入れられないのが実情でもあります…。

ともあれ、冒頭と番組内でも申し上げましたが、今回の「就活ルール廃止」ニュースをきっかけに、

・なぜこのようなルールが生まれたのか
・ルールによって守られている人は誰なのか
・ルールをなくすためにはどんな変化が必要で望ましいのか

などを考えてみていただければ幸いです。

そして実は来週も乙武さんの代打で出演しますので、お楽しみに?!

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年9月4日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。