どうも新田です。以前もどこかで書きましたが、男性の育休問題を提起した宮崎謙介衆院議員の同僚兼奥様である金子恵美議員は早稲田の放送研究会でワタシメの1年後輩。もう10年くらいお会いしてないのですが、図らずも今回の件で「全国区」になってしまいそうな展開に時の流れを感じます。
まあ、明石家サンタに駆け込み電話をされるような非リア充な方々からすれば、「恵まれたご身分のくせに」「育休を取れない庶民の生活を見ろ」などなど、ツッコミが入りそうですが(笑)、アゴラでも本件のエントリーが急増中。そして寄稿者、読者のみなさんの賛否真っ二つという感じです。
皆様の玉稿を一読した限り、宮崎、金子両議員の問題提起に対する寄稿者のスタンスは、こんな感じでしょうか。
【賛成派】
駒崎さん「男性政治家が育休取れない国に、本当にしたいんですか?」
https://agora-web.jp/archives/1664758.html
小林さん「同期議員の育休取得の賛否について考えました」
https://agora-web.jp/archives/1664818.html
おときたさん「近い将来は男性議員の育休取得も当たり前になるのでは?」
https://agora-web.jp/archives/1664845.html
【好意的な中立】
水野さん
「男性議員の育児休暇取得について」
「政治家の育児休暇に関する反響」
https://agora-web.jp/archives/1664808.html
【反対派】
渡瀬さん「国会議員に育児休暇は本当に必要なのか?」
https://agora-web.jp/archives/1664787.html
尾藤さん「国会議員の育休は職務放棄では?」
https://agora-web.jp/archives/1664840.html
駒崎さんは子育て問題の専門家とあってエビデンスに基づいた政策形成思考の本領発揮です。宮崎さんご本人のブログも拝見しましたが、エモーショナルな文面が前に立ち、若手とはいえ、国会議員なんだからもう少し政策的にロジカルに書けないのかな、とツッコミたくなるものの、駒崎さんが代わりに“理論武装”差し上げた格好です。ただ、駒崎さんのエントリーに対してもアゴラでコメント欄は賛否両論、NewsPicksに至っては不毛なカオス地帯となっておるようです。
アジェンダ設定には成功した「育休」
年の瀬で読者の皆様の繁忙ぶりもピークとあって、この頃、サイト全体へのアクセス数が落ち込み傾向だった中で突然活況を呈したことに少し驚いている次第です。メディア視点で申し上げると、大手メディアも含めた世論の反応ぶりから、ここまでは宮崎、金子両議員は少なくとも「アジェンダ」設定には成功したと言えそうです。
もっとも、荒削りな問題提起には谷垣さんも渋い顔という感じでしょう。ただ、小泉元総理、橋下さん等の大物を引き合いに出すまでもなく、政治家としては、世論の巻き込み力も極めて重要な力量というわけで、若い2人としてはこの“好機”をどう生かせるか本番はここからでしょう。
ネット投票の試金石にふさわしい争点
それにしても、賛否それぞれの論考、特に理論武装がしっかりしている賛成派の駒崎さん、反対派の渡瀬さんのエントリーにはそれぞれ唸るものがあります。読者のネット上の反応も賛否それぞれの立場から同様に鋭い指摘があります。
そうなると民意を問いたいところ。社会的関心は若い世代を中心に高そうなことが伺えます。少子高齢化という日本の最大の課題を政権与党の政治家がどう向き合うのか、個々の議員さんに対する政治姿勢自体には今後、注目は高まるでしょう。ただ、民意を問うにしても莫大なカネやヒトを使って「国民投票」をやるほどの問題でもない。
そこで、世耕さんや自民党のネット戦略担当らしい山本一太さんあたりに提案したいのですが、いっそのこと、ネット投票で「民意」を聞いてはいかがでしょうか?ちょうど、これくらいのスケール感のアジェンダであれば、やってみる価値はあると思いますよ。お金もリアルの国民投票に比べてかからないわけだし、TPPや安保法制ほどネタとして“重い”わけじゃありません。
実際、自民では総裁選や参院選候補者選定でネット投票を使う構想もあるわけですから、その実験としてもやってみる実務的な価値も高いと思います。すでに野党では、アゴラ寄稿者の松田公太さんが率いる「日本を元気にする会」がいろいろなアジェンダに対し、「Vote Japan」という投票システムを使って党員の民意を確認し、投票行動に生かしているわけですが、自民党もネット投票の要件を党員に絞ってみるなりして、やってみる価値はあると思うんですがね。
ではでは。
新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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