昨日、「47都道府県の「一中」はどこなのか」という記事を載せた。「日本の高校 ベスト100」(啓文社書房)には、全国の一中だけでなく二中と三中までの一覧表も載せてあるので、そのあたりについても紹介しよう。
一中というのは、明治19年(1886年)に文部省が出した「中学校令(便宜上、「一県一中学校令」と呼ぶ)」で、それまで存在した中学が、各道府県一校の尋常中学に集約されたものをいう。
その後、明治24年(1891年)にこの方針が弾力化されたので、徐々に数校の中学が各道府県に設置された。
現実に二中や三中を名乗ったかどうかは別だが、設立順に並べたら、二中とか三中的な学校は必ずある。ただし、同時に複数校設立ということもある。また、いったん設立されて廃止されたりというのもあるので、少し複雑なケースもある。
そうした事情は、あるものの、いちおう、紹介してみよう。
北海道では、札幌南高校と函館中央高校が同時設立で一中がふたつある。そこで小樽湖陵高校が三中だ。
青森は、②八戸高校③青森高校だ。
岩手は②一関第一高校で、③は福岡高校・遠野高校が同時。
宮城は、②仙台第二高校③古川高校。現在では仙台第二が第一より進学校。
秋田は、②大館鳳鳴高校、③横手高校。横手は石坂洋治が赴任していたこともあり、「靑い山脈」のモデルとも言われる。
山形は②鶴岡南高校③新庄高校。
福島は、②磐城高校③福島高校。ただし、会津は皇室からの下賜金などでこれとは別に私学として②より先に設立されのちに県立に移行。
茨城は、②土浦第一高校③下妻第一高校
栃木は、①栃木高校②真岡高校。ただし、①である宇都宮高校は栃木から移ったもの。
群馬は、②高崎高校・太田高校が同時設立。高崎は福田赳夫、中曽根康弘の母校。
埼玉は、②熊谷高校③川越高校。
千葉は、②佐倉高校③は、木更津高校・成東高校の同時設立。
東京は、②立川高校③両国高校。実質的なナンバーツーは戸山で、スパルタ教育で日比谷のライバルだった。⑤は小石川高校。
神奈川は、②小田原高校③厚木高校。湘南は⑥。
新潟は、②高田高校③長岡高校。小和田恆氏の父は高田中学の校長。
富山は、②高岡高校③魚津高校だが、現在のナンバーワンは富山中部。
石川は、②錦岡高校③七尾高校。二中はいったん廃止になり1963年に錦岡として再建。
福井は、②若狭高校③武生高校。
山梨は、②日川高校③韮崎高校
長野は、②上田高校③飯田高校。
岐阜は、②斐太高校③大垣北高校。斐太高校は高山市にある。
静岡は、②浜松北高校③韮山高校
愛知は、②岡崎高校③津島高校
三重は、②四日市高校③上野高校
滋賀は、②膳所高校③水口高校。進学実績では膳所が①の彦根東に水をあけている。
京都は、②鳥羽高校③福知山高校。鳥羽高校は京都二中として夏の高校野球第一回大会優勝。
大阪は、②三国丘高校③八尾高校。天王寺は北野高校から分かれた五中にあたる。大手前は女学校。
兵庫は、②神戸高校③豊岡高校
奈良は、②畝傍高校③五条高校。奈良高校は1924年創立で新しい。
和歌山は②田辺高校③新宮高校
鳥取は、②米子東高校③倉吉東高校
島根は、②浜田高校③大社高校。出雲市では女学校を前身とする出雲高校のほうが優位。
岡山は、②津山高校③高梁高校
広島は、②福山誠之館高校③忠海高校。忠海高校は池田勇人の母校。
山口は、②防府高校③豊浦高校。豊浦は下関市長府に所在。
徳島は、②脇町高校③富岡西高校
香川は、②丸亀高校③観音寺第一高校・大川高校が同時。
愛媛は、②西条高校・宇和島東高校が同時。
高知は、②高知小津高校③安芸高校
福岡は、②育徳館高校③明善高校。みやこ町の育徳館は小倉藩が幕末にこの町の豊津に移転していたことからその設立。
佐賀は、②鹿島高校③唐津東高校
長崎は、②大村高校③佐世保北高校
熊本は、②天草高校・鹿本高校・八代高校が同時。熊本高校は一中である済々黌が分割されて誕生。
大分は、②臼杵高校・竹田高校・杵築高校が同時。
宮崎は、②延岡高校・都城泉丘高校。
鹿児島は②川内高校③加治木高校。甲南は第七高等学校の付属から分離してできた鹿児島市内の二中。
沖縄は、②那覇高校③名護高校だ。