完璧セキュリティのスマホがファーウェイから生まれる皮肉

山田 肇

家電量販店でタブレットPCを眺めていたら、マイクロソフトのジャケットを着た店員が近づいてきた。「Surface Goはセキュリティが高いんです。」びっくりして理由を聞くとGoのOSには一般的なWindows 10ではなく、Windows 10 Home (Sモード)が搭載されているからだという。同じOSが載ったデバイスはほとんどないそうだ。

広く出回っているOSほどセキュリティに課題があるのは事実。世間が混乱するのを楽しむ愉快犯も、金を盗み出す経済犯も、秘密文書を狙う政治犯も、対象デバイスが少なければ目的を達成できない恐れが高い。彼らが狙うのは広く出回っているOSで、逆に亜流OSは安全である。

日本ではSIMフリー版が3万円台前半で5月24日に発売される「HUAWEI P30 lite」( Kārlis Dambrāns/flickr:編集部)

セキュリティに問題があるとして米国に締め出しを食らったファーウェイが独自OSを開発中というニュースが流れてきた。記事によれば、ファーウェイのモバイル部門を率いる余承東氏は数カ月前に、既に今回の事態を想定したかのような発言をしていたという。

そんな独自スマホはAndroidやiOS搭載のスマホよりも数が少なくなるから、ハッカーの攻撃対象になる恐れは低い。セキュリティが理由で締め出されたファーウェイのスマホのセキュリティが完璧になるというのは皮肉だ。