毎年、およそ100人に1人の妊婦さんが、双子や三つ子などの多胎児ママになっています。
赤ちゃん1人でも、授乳、おむつ替え、お風呂、寝かしつけ…と大変な育児。多胎児の育児となると、想像を絶する大変さだと思います。
フローレンスが昨年行った多胎児家庭へのアンケートでは、『双子の泣きにそれぞれ対応していたら、15時間たっていました』『乳児期の一日の睡眠時間、16分』『気が狂うかと思った』『目の前のことをこなすのに精一杯で、一分先のことを考えられない。余裕がない。』といった悲鳴のような声が届きました。
そんな多胎児家庭を助けるため、3月3日、令和2年度「母子保健医療対策総合支援事業実施要綱」案が厚生労働省HPにアップされました。
多胎妊産婦等支援と妊産婦等への育児用品等による支援が新設
この要綱の「産前・産後サポート事業」の中に、「多胎妊産婦等支援」と「妊産婦等への育児用品等による支援」が新設されました。補助率は国1/2、市区町村1/2です。
うち、説明資料2「母子保健課(185~298ページ)」中の
p.227-228に説明資料
うち、別冊資料「母子保健課(571~638ページ)」中の
p.576に単価表、p.591-592に要綱案
産前・産後サポート事業
■多胎妊産婦等支援(新設)
① 多胎ピアサポート事業
多胎児の育児経験者家族との交流会等の実施や、多胎妊婦が入院している場合や、外出が困難な場合など、必要に応じて多胎児の育児経験者によるアウトリーチでの相談支援を実施する。
月額補助単価:1市区町村あたり 189,000円✕実施月数
② 多胎妊産婦サポーター等事業
多胎妊婦や多胎家庭のもとへサポーターを派遣し、外出時の補助や、日常の育児に関する介助を行う。また、当該サポーターを派遣する前に、多胎家庭への支援に際して必要な知識等を修得するための研修を実施する。
月額補助単価:1市区町村あたり 408,800円✕実施月数
■妊産婦等への育児用品等による支援(新設)
妊産婦へ育児用品(葉酸サプリ、紙おむつなど) を支給することをきっかけとして、妊産婦の状況確認や医療提供体制・相談支援体制に関する情報提供をすることを目的とした事業で、市区町村の創意工夫を活かした取り組みを支援するものです。
補助金額は、「1,700円✕妊婦の数」ですが、多胎の場合は子どもの数に応じて支払うこととされています。
◆産前・産後サポート事業 説明資料のp.227-228
◆「母子保健医療対策総合支援事業実施要綱」案のp.591-592
◆単価表
こちらの資料のp.576
(筆者注)3月6日現在、多胎ピアサポート事業の1市町村当たりの単価が「18,900円」と間違って掲載されていますが、正しくは「189,000円」です。
市区町村の議員・職員のみなさん、制度導入に向けて動いてください!
全国の市区町村の議員、職員のみなさん、
誰にも相談できず、外出するのもままならず、ひたすら育児を頑張っている多胎児家庭のパパママを助けるために、この要綱を確認して、制度を導入してください。お願いします。
ちなみに、東京都は多胎児家庭への支援として、以下の施策を打ち出しています。
◆令和2年度東京都予算案の概要のp.30
東京都下の基礎自治体は特に取り組みやすくなっているので、絶対やってくださいね!!
以上、要綱案の紹介でした。
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2020年3月9日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。