東京都はアクセシビリティを「とことん」改善して欲しい

東京動画」という東京都の公式動画配信チャンネルにコロナ関係の動画が多数掲載されている。しかし、その多くに字幕が付いていない。

たとえば、コロナに感染した白鳥久美子や漫才コンビ「ウエストランド」と知事との対談。せっかくの経験談で視聴者の役に立つはずだが字幕はない。

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「Covid-19 Monitoring Report」という動画もある。知事自ら英語で状況を説明して協力を求める動画だが、同様に字幕はない。

字幕があれば聴覚で情報取得がむずかしい人にも内容が伝わる。日本語も英語もわからない人も、字幕があれば自動翻訳にかけて内容を把握できる。そんな配慮が欠けている。

2020年12月に「新型コロナウイルス感染症都民向け感染予防ハンドブック[第1版]」が発行された。都庁サイトからPDFがダウンロードできる

16ページに「流水と石けんによる手洗い」と「アルコールを用いた手指の消毒」の手順の説明図がある。これをAdobe Acrobatに内蔵された読み上げ機能を使って読み上げると、すぐに問題に気付く。

「アルコールを用いた手指の消毒」(東京都ハンドブックより)

「流水と石けんによる手洗い」を飛ばして「アルコールを用いた手指の消毒」から読み上げる。図には「親指を手のひらでねじりながらよくすりこむ」と書かれているが、「親指を手のひらでねじりながらよくすりこむ、手のひらでねじりながらよくすりこむ」と一部分だけ二度読み上げる。部分的に二度読み上げるのは、ここだけではない。

これでは、視覚で情報取得がむずかしい人には正しい手洗い方法は伝わらない。公表前に一度読み上げるだけで問題に気付いたはずなのに。

視覚障害者・聴覚障害者・日本語がわからない外国人などへの情報提供に、東京都のコロナ広報は多くの問題を抱えている。アクセシビリティに関する管理が出来ていないのだ。

都知事の大好きなフレーズを使えば、すぐに「とことん」改善していただきたい。