特別養護老人ホームにおいて2021年4月に接種後死亡者が大量に発生していた疑惑

byryo/iStock

高齢者のコロナワクチン接種開始は2021年4月なので、同年4月以降の超過死亡は、ワクチン接種が原因ではないかと、以前に推測しました。

この時の反論の一つに、「4月では高齢者のワクチン接種は、ほとんど実施されていないため、 4月に接種後死亡が原因で超過死亡が増加することは有り得ない」という主張がありました。 調べてみると、4月の高齢者の接種率は僅かに0.88%でした。確かにその反論には説得力があり、私の推論の弱点でした。

その後、折りにつけ色々考えていたところ、4月は他の月と比べて、高齢者の健康状態が異なる可能性に考え至りました。

月ごとの高齢者の接種率と接種後死亡者数をまとめて表にしてみました。65歳以上の人口を3640万人として、接種後死亡者の死亡発生率(100万人・月あたりの人数)も計算しました。比率は、5月の死亡発生率を基準とした時の比率です。

計算の結果、2021年4月の接種後の死亡発生率は突出して高く、5月のそれの5.8倍であることが分かりました。4月には異常なことが起きていたのです。そして、この事実は、4月に接種した高齢者は、5月~7月に接種を受けた高齢者と比べて、健康状態が大きく異なっていた可能性を示唆しています。

ただ、辻褄が合うには5.8倍でもまだ不十分です。4月の超過死亡数上限値(3691人)よりコロナ死亡数(1076人)を引いた数値の半分が接種後死亡者と仮定した場合、4月の本当の接種後死亡者数は現在の37倍といことになります。つまり、大量の報告漏れの可能性があるわけです。

4月には、どのような高齢者が接種を受けたのかを調べてみました。その結果、4月に接種を受けた高齢者は、ほとんど特別養護老人ホームの入所者であることが判明しました。

京都市のWebサイトより引用します。

  • 京都市では令和3年4月12日から、多床室を有する特別養護老人ホーム等で接種を開始しています。
  • 高齢者施設での新型コロナワクチン接種について、ワクチンの供給量に限りがあった4月中は、多床室があり、定員100人以上の施設を対象として実施しました。

次に、宇都宮市のWebサイトより引用します。

・本市の高齢者向け接種については,4月12日から,65歳以上の高齢者施設入所者 (特別養護老人ホーム入所者を優先)を対象に開始した。

・特別養護老人ホーム入所者 (約2千人) : 4月12日~5月下旬(目標)
・上記を除く高齢者施設入所者(約4千人) : 5月10日~
・その他の高齢者一般 (約12万6千人) : 5月17日~

高齢者の接種は、特別養護老人ホーム入所者、一般の高齢者施設入所者、一般の高齢者の順であったということです。また、一般の高齢者の場合は、80歳以上、75~79歳、70~74歳、65~69歳の順で接種が実施されました。つまり、新型コロナで重症化リスクの高い順で接種が行われたのです。

この順は、接種後の死亡発生率が高い順でもありました。接種後死亡発生率の表を今一度見てみます。4月の死亡発生率が断トツで高く、5月より7月にかけて徐々に低下していきます。つまり、接種後の死亡発生率は、新型コロナで重症化する率に相関していたのです。

現在の特別養護老人ホームの入居条件は、「在宅での生活が困難になった要介護3以上」です。つまり、入居している高齢者は、健康状態が良好とは言えない人が多いわけです。健康状態が良好と言えない高齢者の場合は、良好な高齢者と比べて、コロナワクチンの強い副反応に耐えられず死亡する確率が、 高くなると推測されます。

ノルウェーでは、基礎疾患を有する高齢者施設入居者がワクチン接種後に多数死亡したことが問題となりました。当時、日本では高齢者施設でのクラスターが大問題となっていました。そのため、高齢者施設での接種推進が最優先課題であり、ノルウェーの問題を軽視していた可能性があります。したがって、日本の特別養護老人ホームでノルウェーと同様の現象が発生していたとしても不思議ではありません。しかし、日本ではそのような報道はありませんでした。大量の死亡がなかったから報道がなかったのか、政府に忖度して報道しなかったのか、今後検証されるべきです。

ネットで調べたところ、10年前の発表ですが、特養内死亡の推移を調べた論文がありました。この論文では、全国の特別養護老人ホームへ郵送やFAXで調査票を送付してデータを収集しました。この手法を用いれば、2021年の3月~7月の特別養護老人ホームの死亡発生率を調べることが可能です。もし、4月の死亡発生率が突出して高ければ、私の推測が正しかったことになります。今後、どこかの大学が、このような調査を実施してくれることを、私は強く期待します。

【補足】
今回の論考で使用している月は、一般的な月とは少し異なります。 具体的には、4月は、4月1日~4月30日ではなく、4月4日~5月1日です。 月の最初の日曜日より始まる週を第1週としています。これは、ダッシュボードの累積グラフにおいて、月の定義がそのようになっているためです。累積グラフで、月ごとの超過死亡数を取得する方法は、こちらの解説を参考にしてください。なお、4週の月と5週の月があるため、グラフでは5週の月のデータは5分の4に補正してあります。