こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。
まだ報道ベースですが、公明党からの要請により政府が「出産準備金」をクーポンを創設するとのことで、SNS上では「またクーポンか」「非効率なバラマキ」「焼け石に水」という怨嗟の声が溢れています。
政府、全ての妊婦に「出産準備金」支給へ調整…新生児1人当たり10万円のクーポン軸に検討(読売新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/c95f9508b2334d12241c0d76494164c4dbe41670
確かにネガティブな面もあると思うのですが、制度設計次第では良い施策になる可能性があるという所感をツイートしたところ、
確かに異彩を放っている。ていうか政策に詳し「そう」ってなんやねん、政調会長やぞっ!
まあそれはそれとして。
ミルトン・フリードマンが「教育バウチャー」を提唱したように、最終需要者側に選択権を渡す仕組みは、事業者に補助金を出すよりはるかに望ましいものだと私は考えます。
以下、子育てクーポン(バウチャー)のメリット・デメリットを簡単にまとめてみます。
■良い点
- サービスの現物支給・事業者への補助金ではないため「中抜き」が発生しづらく、消費者側の選択肢が増える
- 消費者側に選択権を委ねることで、子育て関連事業の競争原理による活性化・サービス向上が期待できる
- 現金ではなく使途を限定したクーポンにすることで別の用途(貯蓄や親の遊興費)に使われることを防ぎ、悪用も一定制限できる
- 維新が提案してきたように、出産費用を保険適用で固定化した上で、その残額をカバーできる額の子育てクーポンを配布する制度にすれば、実質出産無償化を達成できる
■悪い点
- 制度設計次第ではめちゃくちゃ非効率・高コストになる。紙で配布なんてことになったら最悪で、デジタルクーポン等にするべき
- 単発の事業だった場合、事務コストがやはり高すぎて✕。ワンショットのバラマキでは負担感の軽減も期待できない(報道では『創設』と書かれているので、補正予算の単発ではない?)
- 報道のように「保育園などに通っていないことを条件(すでに子育てサービスを受給しているなら対象外)」とするなら、単なる財源の付替え。
- 何より政策的な大目標がなければ、期待感も醸成されず子育て関連品がちょっとずつ値上がりして終わるワーストケースもありえる(後述)
■
特に重要なのは「悪い点」の最後にあげた政策的な大目標の設定です。
多くの人が指摘するように「10万円のクーポンをくれるなら子どもを産もうか」なんて考える人はこの世にほぼ存在しません。この政策によって何を達成するのか、そこを明確にして国民にメッセージを発するべきです。
「出産準備金(子育てクーポン)によって、我が国は妊娠・出産にかかる自己負担を限りなくゼロ(無償)にするのだ」
という方向性を打ち出すのであれば、私は大きな意義があると思います。それなしに「負担軽減」という曖昧模糊とした概念で突き進むなら、単なるバラマキ・焼け石に水で終わります。
まだ報道ベースの情報のみで詳細は不明ですが、政府与党からようやく議論に値する提案が出てきました。予算委員会などの場で積極的・建設的に議論を交わしていきたいと思います。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年10月16日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。