資産運用の主役は「成長」から「歪み」「希少性」へ

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6月11日の日本経済新聞の1面トップは先進国の金利低下を図表を使って報じています(グラフも同紙から)。日本はマイナス金利の導入によって、10年国債もマイナスに落ち込んでいますが(価格は上昇)、米国、欧州でも同様の流れが続いていることがわかります。

金利が低下している原因には諸説ありますが、明確なことは世界には成長の恩恵を受ける投資機会が少なくなってきていることです。金利が下がれば、その分低収益な投資機会であってもリスクを取ってチャレンジする企業が出てきます。金融緩和によって短期金利が低下して、投資機会は広がるはずなのに、それが見つけられないから、資金需要が発生せず、さらに金利が低下していくという循環になっているのです。

資産運用において大切なことは、常に「収益の源泉」を考えることです。私は、収益の源泉には、次の3つがあると思っています。

1.世界経済全体の成長を収益の源泉とする投資
2.情報の「歪み」を収益の源泉とする投資
3.希少性による需要の強まりからくる価格上昇を収益の源泉とする投資

1つ目の世界経済の成長は、インデックスファンドを使った金融資産への長期分散投資で享受することができます。

2つ目の情報の歪みは、金融資産ではなく不動産のような実物資産で狙うことができます。

そして3つ目の希少性による収益は、現代アート、アンティークコイン、クラシックカーといった供給が限られていて、需要が高まる実物資産から得られる可能性があります。

世界的な金利の低下は、1番目の投資の魅力を相対的に低めます。債券金利が低下して、株式と債券を対象にグローバル分散投資をしても、以前よりは期待リターンは低くなってきています。

そうなると、重要になってくるのが2番目と3番目の収益の源泉を狙う投資です。

金融資産から実物資産への投資対象のシフトが、日本の個人投資家の間でも広がり始めています。資産デザイン研究所に寄せられる問い合わせも、「信頼できるワンルーム会社を紹介して欲しい」「国内の未公開物件の投資方法を教えてほしい」「海外不動産の現地の会社を紹介して欲しい」といった実物資産に関するものが圧倒的になってきました。

本日の午後開催されるベトナム不動産セミナーも、100名以上の申込みが入り満席です。

3つの収益の源泉の中から、どれを選ぶかによって投資対象は変わってきます。私はどれかに決め打ちするよりも、3つのバランス良く組み合わせていくのが良いと思い、自分でもそのような資産運用をしています。6月21日の銀座夜大学でも、この話をしたいと思っています。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年6月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。