矛盾だらけ子ども子育て支援金、関連法案が与党のみのゴリ押しで可決…

こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

子ども子育て支援金を導入する法案が、残念ながら衆議院で与党によって可決されました。

社会保険料の目的外使用であり、現役世代の負担を増やす実質増税。そして「一人当たり500円」という政府の説明は明らかに欺瞞であり、これからさらに増える可能性が満載です。

その矛盾や問題点について国会で散々指摘をされ、論理としては完全に論破されていたにもかかわらず、与党のみ賛成の採決で押し切る形となりました。

こうした国民の負担増に直結する法案であれば、主要野党の一つくらいは賛成に回るようにするものですが、今回の与党はそうした調整すら諦めてまさに数の力で押し切った形。

結局、取れるところ(現役世代)から取りやすい形で、社会保険料であれば増額してもかまわわないのだという政府の歪んだ強い意志を感じます。

維新は支援金部分を廃止にする独自の修正案を提出しましたが、残念ながら反対多数で否決される結果となりました。

しかし、まだ参議院での審議も残っています。支援金導入を防ぐため、諦めずに参院側でも闘いを続けていきます。

以下、衆議院本会議における討論全文を掲載しておきます。

加藤鮎子内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画)SNSより

昨年我が国で生まれた子供の数は75万人、過去最少を更新いたしました。一方死亡者数は158万人であり人口の自然減少は83万人、毎年1つの都道府県がなくなるほどの人口減少がいよいよ加速しはじめ、すでにどの業界でも「人手不足」がしきりに騒がれております。

このような状況において、人口問題に正面から向き合い、少子化に終止符をうつべく「加速化プラン」をはじめとする本改正案を作成したこと自体は敬意を表するものであり、若者が結婚・出産・育児に前向きになれるのではないかと、大変期待をいたしました。

しかし、提示された具体策は非常に物足りない内容でありました。特に財源確保のための「子ども子育て支援金制度」は、大臣の説明のたびに数値が変わり、誰も正しく制度を理解していないとしか思えません。欠点だらけの制度であるにも関わらず、強引に可決し、国民からこっそりと財源を徴収せしめんとする不誠実な姿は、断じて見過ごすことはできません。

子ども子育て支援金制度には大きく3つの問題点がございます。第一に「社会保険料の目的外利用である」という点であります。

2008年、後期高齢者制度が始まる際、「誰しもが高齢者となりサービスを享受しうる」という理由で、現役世代から高齢者への支援金が創設されました。今回も同じような連帯の観点から高齢者を含む全世代から子どもへの支援金制度が創設されますが、高齢者が再び子供になることはないのですから、同じ理屈で制度を拡張することには無理があると断じざるを得ません。

委員会では「子どもが増えれば将来的に税収が上がる」ことをもって被保険者の受益となるとの説明もありましたが、そのような理屈で社会保険料を徴収できるのであれば、今後どのような名目にも「社会保険料」の使途を拡大できることとなります。

第二の問題点は「社会保険料を財源とすること自体が少子化対策に反する」というものであります。

社会保険料に上乗せする政府与党案について、社会保険料は一定収入で負担が頭打ちになるため逆進性がつよく、現役世代の中間所得層に特に重く負担がかかることは委員会でも、再三ご指摘した通りであります。結婚、出産に臨むべき世代の可処分所得を圧迫することは、少子化を反転させるどころか、少子化を加速しかねません。

もちろん、政府がその社会保険料について所得だけでなく、資産も含めた応能負担を検討していることは承知しておりますが、検討ばかりで一歩も前に進んでおりません。真の応能負担に必要不可欠な、「預貯金口座へのマイナンバー付番」についても全く議論が進んでおりません。

岸田総理も「社会保険制度の持続可能性の観点から、全ての国民がその能力に応じて負担し支え合う全世代型社会保障の構築が重要である」と繰り返しおっしゃっていますが、口で言うばかりでそのためのリーダーシップは全く発揮されておりません。

第三の問題点は、増税ならぬ「増保険料」ばかりを急ぎ、少子化傾向の反転に向けた総理の覚悟が見えないことであります。私たちは、国民一人一人の結婚や出産に係る人生の選択が自由であることは当然でありますが、その上で、国としての長期的な人口ビジョンなくして、加速化プランの実質的な成功はないと考えております。政府の目標は「結婚・妊娠・子ども子育てに温かい社会の実現に向かっている」と思う人の割合を現状の27.8%から引き上げようといったものにとどまっています。

他方、どのようなエビデンスに基いて積み上げられたのか全く分からない、3.6兆円という予算の金額のみが先行し、そのための増税ならぬ増保険料だけが具体的に決まっていくと言うのは本末転倒ではないでしょうか。そもそも、少子化対策に明確な正解はなく、世界の国々が試行錯誤、トライ&エラーを続けているのが現状です。そうした中で、恒久的な財源を確保するための支援金制度の構築を急ぐことに合理性はなく、国民の理解を得ることもできません。

こうした観点から私たちは、子育て支援に関する施策の負担と給付について抜本的に見直しを行い、その見直しが行われる間の財源については

一つ、国会議員の定数の削減をはじめとする行政改革による出資の削減等、歳出の削減を図ること。
二つ、国の扶養資産の売却によって歳入を増やすこと。
三つ、その他に足りない分は特例公債の発行すること。

この3つを代替の財源とした修正案を提出いたしました。

我々国会議員が、先頭を立って身を切る改革を実践し、財源を見出す覚悟を示す必要があります。私たちにはその覚悟がございます。2028年までにしっかりと議論し、恒久的な措置を検討していきましょうではありませんか。

今回、政府与党が数の力でこうした問題の多い制度を規定した法案を仮に可決するとしても、私たちは来るべき選挙でしっかり力をつけて、近い将来必ず支援金制度を廃止に追い込むことを国民の皆様にお誓いして反対討論とさせていただきます。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2024年4月19日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。