働く女性が身につけるべき仕事のお作法は「上機嫌力」だった――
気配りは大切だけれど、自分が疲れてしまっては意味がない。本書では、自分もまわりも幸せにする「上機嫌力」を身につける67のコツが紹介されている。
「自分も幸せ まわりも幸せ 上機嫌に働く67のコツ」(今蔵ゆかり 著)ぱる出版
自分の居場所をつくるということ
あなたには、自分が安心していられる居場所がいくつあるだろうか?今蔵さんは次のように解説する。
「趣味のサークルやジムなど、所属するコミュニティがいくつかある方もいるでしょう。 毎日が忙しく、家と職場の往復のみの方もいるでしょう。上機嫌でいるために、居場所を複数持つことをおすすめします。なぜなら、居場所が少ないと、何か悩みや問題があった場合、逃げ場がなくなり、苦しくなってしまうことがあるからです」(今蔵さん)
「たとえば、職場の人間関係がうまくいかず悩んでいる時、居場所が家庭だけだとどうでしょう。家族は悩みを聞いてくれるかもしれませんが、解決するのは難しいでしょう。複数の居場所があれば、別の居場所の人から解決のヒントをもらえたり、勇気づけられたりして、気持ちが晴れることもありますね」(同)
居場所とは、複数の顔を表現できる場所とも言えるだろう。今蔵さんは、仕事中の顔、彼女の顔、妻の顔、趣味を楽しむ顔…それぞれ別の顔でいられる場所だと言う。
「知人の経営者の女性は、いくつもの顔と居場所を持っているのです。ある日はデニムとユニクロのパーカー姿で、下町の串カツ屋へ。お店の人や常連さんは『○○ちゃん、久しぶりやん!ここ座り』。誰も彼女を経営者としてみていません。みなさんとは、気のあう楽しい串カツ友達です」(今蔵さん)
「また、ある日はジャージ姿でテニスサークルへ。上級者のマダム達に『○○さん、ナイス!だんだん上手になってきたな、この調子やわ。終わったら一杯行く?』。ここでも彼女は経営者ではなく、テニス仲間です。仕事先のように、気を使われ、特別扱いされることは、まったくありません」(同)
居場所の確保が大切である理由
私はハードワークで有名なコンサル会社に勤務していたことがある。役職はディレクターだったので役員会やクライアントの取締役会などにも出席していた。会社にとって数字(売上と利益)は至上命題である。業績がいいときは楽だが悪い時は悲惨である。社長からつるし上げを食らうことになる。
<よくある現象A>
社長:先月からほとんど進捗ないな。で、いまはどんな感じなの?
尾藤:提案済み案件が多いので心配はしていません。
社長:じゃ、早く結論を出せよ!お前バカなの?
尾藤:いまクロージングを急ぐことは好ましくありません。
社長:じゃ、お前の給料は誰が払うんだよ。ほかの役員に謝罪しろ!
<よくある現象B>
社長:今月末の落としどころは?
尾藤:目標値に対して6割程度ですが、期末には数字を合わせるようにします。
社長:そんなの当たり前!お前バカなの?
尾藤:あと一歩の案件がいくつかありますのでお待ちください。
社長:「あと一歩」ってどのくらいなの?先週は「あと少し」って言ったよな。「あと一歩」と「あと少し」ってどっちがマシなの?
周りの見せしめもあるから、酷い言葉が飛び交う。こんな時に逃げ込む場所があった。銀座伊東屋の隣のビルにある喫茶店である。場所が地下にあったので電波も届かない。ここで好きな読書をしながら時間を潰していたのである。仮眠をとることもあった。周囲はサラリーマンばかりで同じような客が多かった。
リフレッシュできる場所を見つける
ネットカフェが無い時代、リラックスできる場所を確保することは重要だった。リフレッシュすることで体調を元に戻すことができた。その効果だろうか、当時のキャリアを振り返れば業績未達の年は一度もなかった。むしろ毎年、上位10%にはいるハイパフォーマンスを挙げていた。居場所を見つけることは大切である。
どうしてもストレスが軽減できない場合は、ひたすら寝ていた。早退して家でガン寝したこともよくある。睡眠後は、心も体もリフレッシュできた。
本書は、上機嫌で働くことのテクニックやメリットが取り上げられているが、上機嫌に働くには効果的なストレス対処が必要になる。居場所を見つけて、それでも解決できない場合は、ひたすら睡眠をとることをおススメしたい。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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2年振りに22冊目の本を出版しました。
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