なぜネトウヨ系の主張は人気がなくなってきているのか?

ネットの世界では移民問題が大変な注目を浴びており、保守系やネトウヨ系が人気な割には東京都知事選では桜井誠氏が9位と意外と人気がなく、明らかに世の中の流れが変わってきている気がいたします。

都知事選では9位の桜井誠氏 Wikipediaより

10年ほど前には在特会が話題になり、日本ではこのまま排外主義的な主張を垂れ流す極右の人々がどんどん増えていくのではないかというような懸念がありましたがそうはなりませんでした。

桜井誠氏の都知事選での票が意外と伸びなかったように、どうもここ最近の日本では以前のような排外主義的なネトウヨ言論はあまり人気がなくなってきているように思います。書店でもかつての様な強烈なネトウヨ本は人気がなく、もう少しマイルドな主張のものが人気です。

なぜ日本でネトウヨ系の主張がそれほど人気でなくなってきているのでしょうか。

一方で移民に対する不安を抱えている人は少なくなく、中国やロシア北朝鮮の脅威というのは高まる一方で実は10年ちょっと前よりもかなり深刻な状況になっているのにも関わらず、です。

これにはやはり国際情勢よりも、目の前の生活が厳しくなってきている人が増えているというのがあるのではないでしょうか。

中国や韓国に対する対外的な意見を繰り返してもスパゲティの値段が下がるわけではないですし光熱費も下がりません。

給料も増えませんし年金が増えるわけでもありません。

気がついてみるとコンビニのものもずいぶん高くなっていて、おにぎりやカップ麺の値段は上がり、ポテチは10年ぐらい前と比べると量がものすごく減っています。

その一方で銀座や新宿にはインバウンドの外国人旅行者があふれ、築地では1本8,000円ぐらいする牛串をどんどん買っている外国人観光客がいるわけですから、自分の生活が貧しくなっているのではと実感する人は少なくありません。

実はこのような排外主義的な極端な極右系主張よりも、目の前の生活をどうするかという言論の方が人気なのは日本だけではなく海外も似たところがあります。

例えば最近フランスで人気の極右政党「国民連合(RN)」の主張がまさにその例の一つで、極右政党というレッテルの割には実は高福祉を掲げ、年金支給年齢の引き下げや若者に対する住宅取得補助を提供などという政策提案の方が重要になってきています。

もちろん移民に対して厳しい態度をとることは変わりませんが、フランスも生活が苦しい有権者が多いので、自分の生活を良くしてくれる政党が人気になります。

参照:普通の生活をしているのに極右と呼ばれてしまう人々の苦悩 谷本 真由美

その結果フランスも国民議会(下院)選挙の決選投票で国民連合は3位となり、左派連合と中道の与党連合に敗れます。国民連合はかつてに比べトーンをソフトにし、イメージを変え、政策も排外主義や反ユダヤ主義から経済や福祉政策にシフトしてきましたが、イデオロギーだけでは第一政党になるのは難しいようです。

 

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