
S&P 500は小さな振り落としを経ながらも堅調地合いが続いた。
火曜7/15アジア時間にはNVDAが禁止されていたH20チップの中国販売再開許可を得たと発表したことで、一旦関税云々は忘れられて半導体関連が盛り上がったが、火曜7/15は日足レジスタンスの6300に近付いたこともあって寄り天となった。米銀決算は悪くなかったものの金融セクターは決算ラッシュ初日から下落した。
水曜7/16はパウエル議長の解任騒ぎが再びあり、一度米ドルとのダブル安になったが、すぐにトランプが否定するという、アジア人が寝ていた間にイントラデーTACOが行われた。ここで一旦下をやって振り落としが済んだことで指数は一転して軽くなり、木曜7/17は上値追いとなり、金曜7/18には再び6300にチャレンジしたが、再び売りに押し戻されている。ネトフリの決算はよかったものの利食いのきっかけとなった。

先週末にはEUへの関税宣言が一連の書簡の総仕上げとなったが、EU側が対抗措置を保留したことで大した影響がなかった。書簡の週間が終わり、関税に関するヘッドラインへの反応があまりにも小さくなってしまっている。

GSはCTAの買いが7月いっぱい継続、何なら加速すると推測する。

珍しく流れてきたUBSも同様である。

先週の記事でも触れたように、3ヶ月のスコープから「解放の日」後の急落急騰が抜けたため、3ヶ月リアライズドVolは急落した。これは機械勢の買いを誘発しやすい環境であった。

DBの統合ポジショニングは中立を通過しつつある。

BofAの顧客層別フローでは相変わらず機関投資家の大きめの売り vs ブラックアウトでしょぼくなった企業の自社株買いとなっている。年初来で機関投資家の売りと個人投資家の買いの格差は前代未聞となっているが、機関投資家がダムマネーであり個人投資家がスマートマネーであるため、それ自体が下げフラグになるわけではない。

BofAのディーラーガンマは、6300の山が小さく削れつつ更に上方にシフトしている。下値では6100あたりに引き続き大きな山があり、そのあたりがサポートとなる。7月Op Exも通過したためこの分布の形が変わっている可能性もある。

BofAのFMSでは久々にキャッシュ比率が4%を割り込んで3.9%を付けており2月以来のセルシグナルが点灯する。単月で割ったからと言ってビビッドに効くシグナルでもないが、とにかく年初にバリバリの強気だった機関投資家が、下で投げてから上で再び買ったことだけは分かる。

NAAIMは引続き高値圏ながらもまた妙に慎重になっている。これだけ見ると、中期的な上値余地が狭まりつつある中でも、すぐ暴落しなければならないほど総楽観とまではならなそうである。

インサイダーの売りはトレンドを持って増えているように見えてきた。

最強シーズナリティの7月は大半が通過しつつあり、8月は株式市場が弱い月として知られる。


決算への警戒は21世紀に入って最も低い水準となっている。NVDAに限れば「コールが織り込む期待が高くない」という解釈になるだろうが、非NVDAは果たして。今週はテスラ、アルファベット, そして半導体の雰囲気に無駄に影響を与えるインテルが控えている。

テクニカル。週足は綺麗な下ヒゲ陽線となり、イントラデーTACOで付けた6200は週足サポートとなる。6200より下もポジティブガンマの山が続くため急落は期待しづらい。日足レジスタンスの6300はあらゆるグッドニュースを寄り天にしたが、ガンマの山の移動と共に徐々に削られきたため、引き続きレジスタンスとは見なしておらず、6300を背にしたショートは、6300から6200までやったところで時間切れとなる。
素直に見ると6200台は6200を背にした押し目買いができるが、7月Op Exで再び寄り天となりチャートの雰囲気が変わったと言えば言えるため、「動きやすくなった」可能性にも留意することになる。また高値追いは決まらず、細かい押し目買いがワークする局面の継続は、それはそれで市場参加者のポジションのコストが悪化させる。8月に入ってシーズナリティが悪化する頃までにはポジションを軽くしておきたいものである。
力関係としては、他のフローがない中、新高値更新に素直に付いて行くCTAと、3ヶ月リアライズドVolの急落を受けたvolコントロールの買いが続く構図となる。これら機械は大きな下げ(例えば1日2%の下げ)があると仕切り直しとなるが、それが実際に来るまではじり高を正当化する。気付いたら関税期限の8/1は近付いているため6200を割るかどうかはデジタルリスクとなっており、あまり大きなポジションを張る場面ではないように見える。
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編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年7月21日の記事を転載させていただきました。






