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外国人労働者問題について、司令塔機関の設立を前提に、その政策的なあり方を考察したい。
まず、私の基本的な立場を簡潔に述べておくと、外国人の受け入れについては、業界別に必要とされる人数を精査したうえであれば、賛成の立場である。このスタンスについては、程度の差はあれど、ほとんどの国政政党が共有していると考えられる。
ただし、制度の持続可能性を確保するためには、以下に挙げる諸課題を構造的に検討し、着実に前進させていく必要がある。
【制度理解と情報公開】
- 政府方針や政党間スタンスの広報施策の充実
- 制度の「数の規制行政」への転換と公開
【国際・外交的課題】
- 日本の魅力低下と信用力への対応
- 送出国との持続可能な協力体制の構築
【制度設計と社会調整】
- 永住・定住との境界管理
- 入国管理・入国後管理の抜本的見直し
- 雇用主責任と転職自由化等、労働政策上の検討
- 賃金低下への合意形成
- 地域社会の吸収力と文化的摩擦の検討
- ハード・ソフト面での受け入れ態勢整備
これらの課題を統合的に扱うためにも、総合調整機能を備えた「司令塔機関」の創設は不可欠である。
本連載では、上記の各論点について、順を追ってその政策的課題と司令塔機関の果たすべき役割を検討していく予定だ。また本稿では、最上位にあげた「広報機能」について簡単にふれておきたい。
「広報機能」の必要性について
外国人労働者政策については、政府および政党の方針は刻々と変化している。外国人政策が今後さらに深刻化することが予想される中、国民が確実かつリアルタイムに情報にアクセスできるプラットフォームの整備は不可欠である。外国人の受け入れは、制度運用においては国民の理解と納得が前提となる。従来のように、政府が『国会で承認を得たから進める』という形式的なプロセスのみで政策を遂行しても、国民の理解や納得は到底得られない。
このため、政策動向や議論の可視化を目的とした広報施策の強化は不可欠である。
単なる情報発信にとどまらず、現行制度の位置づけ・課題・改善方針、ならびに政党間のスタンスの違いを、平易かつタイムリーに発信する「知的インフラ」としての広報機能が求められる。
司令塔機関がこの機能を担うことで、制度への理解促進のみならず、今後あらゆる政策決定において、社会的合意形成の基盤としての広報の再定義が必要になるだろう。
次回稿では、この広報機能を制度設計の観点から捉え直し、実装に向けた具体的な構想を提示していきたい。
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