10月22日号のNature誌に「SARS-CoV-2 mRNA vaccines sensitize tumours to immune checkpoint blockade」というタイトルの論文と「Tumours might be sensitized to immune therapy by COVID mRNA vaccines」というタイトルのサマリーが紹介されていた。
Natureは米語ではなく、英語表記なので、米語の「Tumor」が英語の「Tumour」と表記されている。私は中学1年生の時に英語の教科書であったが、2年生から米語の教科書となったので、英語表記と米語表記に違いがあることは理解しているが、やはり違和感が残る。

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本題に戻すと、がん治療の免疫療法である免疫チェックポイント抗体を受けた患者のうち、治療開始の100日以内にコロナウイルスに対するmRNAワクチンを受けた患者は、免疫チックポイント抗体治療後の効果が高いとのことだ。この効果はインフルエンザワクチンでは認められないとのことで、mRNAワクチンに特別な効果であるようだ。
ステージ4の非小細胞肺がん、メラノーマの30か月後の全生存率で見ると、肺がんではワクチン群約60%、非ワクチン群約30%と2倍ほど異なる。メラノーマでも、約75%対50%弱と大きな差がついている。統計学的な解析でも、p値が肺がんで0.0002、メラノーマで0.0048とかなり確実な有意差がついている。

mRNAワクチンがどのような仕組みで免疫チェックポイント抗体の効果を高めたのかは、まだ、謎の部分が残っている。RNAそのものの働きか、RNAの運び屋による免疫活性化かも不明だ。ひょっとすると同時期に投与すれば、もっと差がつくかもしれない。技術が進むと思いもよらないことが起こる。
免疫チェックポイント抗体+丸山ワクチンでも意外なことが起こるかも?そして、これにネオアンチゲンを組み合わせるとがんを治すことに近づくかも?
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編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2025年11月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください







