佐倉ふるさと広場拡張整備計画を問う⑪:計画は立ち止まる必要がある

(前回:佐倉ふるさと広場拡張整備計画を問う⑩:議会制民主主義の構造的課題

本稿は、佐倉ふるさと広場の拡張整備そのものに反対するものではない。

観光政策が本来の意味で成熟し、市民の誇りとなり、市内産業を潤し、その成果が税収として市民に還元され、将来世代にとって価値ある公共資産として受け継がれていくのであれば、ふるさと広場は佐倉市の未来を支える中核的な基盤になり得る。

だからこそ問わねばならない。

いま進められているこの計画は、本当にそのような事業なのか。

しかし現実には、その判断に必要な材料——事前調査、経済性、需要の妥当性、安全性、市民合意、政策整合性——そのいずれもが十分に示されないまま、実施の決断だけが先行しようとしている。

このような「判断不能なまま進む計画」に、議員としても、市民としても、賛成することはできない。そして、まさにこの点こそが、この計画が「いまのままでは」危うい最大の理由である。

複数の構造的欠陥を抱えた進行の危うさ

ここまで検証してきたとおり、佐倉ふるさと広場拡張整備事業は、

  • 事前調査が行われていない
  • 経済性が成立していない
  • 需要予測が根拠を欠いている
  • 交通・安全の設計が未整備である
  • 市民参加が制度的に欠落している
  • 市の最上位観光政策とも整合していない
  • にもかかわらず、政治日程を軸に不可逆的に固定されようとしている

という、複数の構造的欠陥を同時に抱えたまま進行している。

したがって本事業の問題は、単なる「計画の出来不出来」ではない。

問題の本質は、この水準の未成熟さで後戻り不能の段階へ進んでしまう、政治的・行政的構造そのものにある。

「失敗しても止められない事業」が生まれつつある

第7章で見たとおり、この事業はすでに

事業者決定=実質的な計画固定

という構造に踏み込もうとしている。

この瞬間以降、たとえ

  • 想定した来訪者数が集まらなくても
  • 経済効果が発生しなくても
  • 交通混雑や事故が発生しても
  • 市民の不満が顕在化しても

「契約」「損害賠償」「事業継続性」という制度の壁が立ちはだかり、政策としての軌道修正は極めて困難になる。

つまり佐倉市はいま、

「失敗しても止められない公共事業」

を自ら設計しつつある。

これは、公共政策として最も避けるべき構造である。

公共事業の原則からの逸脱

本来、公共事業は次の順序で進むべきである。

  1. 市民ニーズと将来像の整理
  2. 施設とその周辺の綿密な事前調査
  3. 需要・効果の検証
  4. 経済性・安全性の確保
  5. 市民参加と合意形成
  6. そのうえで実施判断

本事業は、それら行程に目をつぶったまま「実施判断」の結論を急いでいる。

この進め方は、特定の事業の是非以前に、自治体行政の信頼そのものを損なう危険を孕んでいる。

いま進めば、後で必ず重荷になる

もしこのまま事業が固定されれば、その負担は長期にわたって佐倉市民が引き受けることになる。

  • 財政負担
  • 交通混雑・事故リスク
  • 公共空間の不可逆な改変
  • 政策失敗の修正不能性

これらはすべて、将来世代にまで及ぶ構造的負債となる。

だからこそ、いま立ち止まるべきである。

ここまで積み上げた事実が示しているのは、

「計画をやめるべきだ」という単純な結論ではない。
「この進め方のままでは進んではならない」

——それが、本稿の結論である。

まだ、ぎりぎり引き返せる段階である今こそ、計画の凍結と全面的な再検証が必要である。

次の第12章では、この結論を踏まえ、 市民として最低限何を要求すべきか を、具体的な処方箋として提示する。