奨学金返済減税と「モラルハザード」議論:仕組みで解決し、前に進めよう

会での質疑の中で、奨学金返済額を所得控除する「奨学金返済減税」をめぐる議論が注目を集めました。

若者や現役世代の負担軽減策としては確かに魅力的な提案であり、学費や物価の高騰が続く中で、返済に苦しむ方が増えている現状を考えれば、何らかの支援策を検討すべきという問題意識自体には私も大いに共感します。

一方で、総理が指摘した「必要のない奨学金を借りるモラルハザードの可能性」について、議場から「起こるわけない」というヤジが飛んだ場面もありました。

高市首相 自民党HPより

しかし私は、この点は決してゼロとは言い切れないと思っています。

制度設計次第では、将来的な税控除を見越して「本来は借りなくても済む人まで借りる」というインセンティブが働く可能性は理論的に存在します。

低金利で資金を借りられる環境があるなら、それを活用して別の用途に回すという発想は、経営者マインドを持つ人であればごく自然に出てくるものです。

例えば、奨学金を低金利で借りつつ手元資金を投資に回す、あるいは将来の税控除メリットまで見込んで資金運用を考える――

こうした行動は、制度の穴を突くというよりも合理的な経済行動とも言えます。

だからこそ、「そんなことは起きない」と感情的に否定するのではなく、「起き得ることを前提に制度設計する」ことが重要です。

とはいえ、「モラルハザードがあり得るからやらない」という結論に直行する必要はありません。重要なのは、仕組みで解決する発想です。

例えば、税控除などの優遇措置を導入するのであれば、希望者に対してはより厳格な資産テストを義務付けることも一案でしょう。

マイナンバーを活用すれば、世帯所得や金融資産の把握は技術的には十分可能です。真に支援が必要な層に重点化しつつ、不必要な借入の誘発を防ぐ制度設計は現実的に検討できます。

奨学金の負担軽減は、若い世代への投資という観点からも極めて重要な政策テーマです。だからこそ、感情的な応酬ではなく、「どうすれば実現できるか」という前向きな議論に進むべきだと思います。

課題があるなら制度で潰す。
公平性に懸念があるなら設計で担保する。

政策とは本来、そういう営みのはずです。

若い世代の挑戦を支える仕組みをどう作るのか。建設的な議論が進むことを期待しています。


編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2026年2月27日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。

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