編集者が漫画家の「性加害」示談関与で小学館はどうなる?

小学館の漫画配信アプリ「マンガワン」をめぐり、過去に児童ポルノ製造罪で略式命令を受けた漫画家を、編集部が事実を把握しながら別名義で再起用していた問題が明らかになった。札幌地裁の判決を契機に編集部の関与が判明し、出版社の人権意識やコンプライアンス体制が厳しく問われている。

  • 小学館の漫画配信アプリ「マンガワン」の編集部が、2020年に児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)で罰金30万円の略式命令を受けた漫画家・山本章一氏を、2022年12月に「一路一」名義で新連載「常人仮面」の原作者として起用していた。
  • 2月20日の札幌地裁判決で、山本氏に被害女性への1100万円の損害賠償を命じる判断が示され、その過程で編集部の関与が明らかになった。
  • 山本氏は2020年2月、当時勤務していた北海道の通信制高校で、生徒だった16歳の女性を被写体とした児童ポルノを製造したとして略式起訴された。女性は長期にわたる性被害によりPTSDや乖離性同一性障害を発症したとされる。
  • この事件を受け、当時連載していた「堕天作戦」は中止となった。
  • 2021年5月には、山本氏と被害女性との示談交渉に、マンガワン編集部の担当編集者がLINEグループに参加し、示談金150万円の支払いと引き換えに、女性側が連載再開中止の要求を撤回し、性加害を口外しないことなどを条件とする公正証書の作成を提案していた。女性が納得せず、和解は成立しなかった。
  • その後、2022年12月、編集部は山本氏が「一路一」と同一人物であることを認識しながら、「常人仮面」の原作者として起用した。
  • 2月27日、マンガワン編集部は「常人仮面」の配信停止と単行本の出荷停止を発表し、「起用判断および確認体制に問題があった」として被害女性や関係者に謝罪した。
  • 翌28日、小学館本社も公式声明を発表し、「人権・コンプライアンス意識の欠如があった」と認め、社員と顧問弁護士による調査委員会を設置すると発表した。事実関係の解明と再発防止策の策定を約束し、被害者の心情に寄り添わなかった点についても謝罪した。
  • 日本漫画家協会も声明を出し、「漫画界全体に関わる重要な問題」として、被害者に配慮した調査と結果の公表、再発防止策を求めた。
  • 被害女性の代理人弁護士は、編集部による事件の矮小化があったと批判し、「社会的責任が問われる」と指摘している。
  • 小学館は現時点で記者会見の予定はなく、内部調査を優先する姿勢を示している。
  • 編集部の隠蔽体質への批判や、被害女性への同情が相次いでいる。特に、マンガワンで連載する複数の漫画家が抗議として作品の配信停止を宣言したことが注目を集めている。
  • 漫画家たちが同業者の性加害を明確に否定した姿勢を評価する声がある一方、小学館の謝罪文については「被害者のことを考えていない」との批判が多い。
  • 過去の芸能界や出版界の性加害問題と重ね合わせる議論も広がり、業界全体の体質改善を求める声が強まっている。

今回の問題は、単なる一編集部の浅はかな判断という問題にとどまらず、出版社としての危機管理や人権意識、業界全体の倫理基準が問われる事態となっている。

小学館 同社HPより

コメント投稿をご希望の方は、投稿者様登録フォームより登録ください。

コメント