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大げさだと思うかもしれない。わたしも最初はそう思っていた。でも、これがほんとうの話なのだ。
起きてから夜寝るまで。春夏秋冬、晴れの日も、雨の日も、365日。わたしたちの身体は、いつも自然のリズムの中で動いている。心臓は勝手に打つし、呼吸も勝手にしている。体温だって、朝と夜では微妙に違う。身体はちゃんと知っているのだ、自然のリズムを。
『ココロ・カラダととのうハーブティー365日』(しばたみか著)山と渓谷社
でも、わたしたちの「頭」が、それを忘れさせる。
朝のアラームで叩き起こされ、満員電車に揺られ、パソコンの画面を何時間も睨み、気がついたら夜。「今日、空を見たっけ?」と思い出せない日が、どれくらいあるだろう。忙しさに追われると、身体が刻んでいる心地よいリズムに、まるで気づけなくなる。
そんなときこそ、ティータイムなのだ。いちばん簡単な、リセット術。
用意するのは、ティーカップとお湯、そして自然のままのやさしさが詰まったハーブティーバッグだけ。たった、それだけ。熱湯を注いで、3分待つ間に深呼吸を3回。——ここ、大事だから覚えておいてほしい。3分と3回。この数字だけでいい。湯気にのった香りが、そっと交感神経を落ち着かせてくれる。ひと口飲めば、胃腸はぽかぽかと温まり、指先の血流もやさしく再起動する。
最初の一杯におすすめなのは、甘くほっとするジャーマンカモミール(→P21)。または、スーッと爽やかなペパーミント(→P25)。詰め込みすぎて重たくなった頭にも、緊張しがちな胃腸にも、やさしく寄り添ってくれる。どちらも常備しておきたいハーブだから、詳しくはあとで書く。
忙しい日ほど、「3分間のティータイム」を意識的にしてみてほしい。たった3分。スマホを見る時間は削れなくても、3分なら作れる。このほんの少しのセルフケアが、心も身体もゆるやかにととのえてくれて、夜の眠りもぐっすり深くなる。翌朝のスタートは、きっと今よりもっと軽やかになるはず。
さて、春分の日をご存じだろうか。——いや、知っているに決まっている。祝日だから。でも、この日の「意味」を考えたことはあるだろうか。
光と闇がぴったり半分ずつ。昼と夜の長さが同じになる日。「宇宙元旦」とも呼ばれていて、自然のサイクルがあらたに始まる日だといわれている。一年の計を立てるのにふさわしい日——と言いたいところだが、正直なところ、この時期のわたしたちはそれどころではない。
気温は乱高下する。花粉は飛ぶ。新年度の緊張で胃が痛い。自律神経はめちゃくちゃで、昼間なのに眠いし、夜なのに目が冴える。「宇宙元旦」どころか、身体はもうぐちゃぐちゃである。
そんなときこそ、ハーブティーの力を借りてみてほしい。心と身体のバランスを、やさしくリセットする。大仰な話ではなくて、一杯のお茶で、ちょっとだけ楽になる。それだけのことだ。
おすすめは、レモングラス(→P120)を主に、ラベンダー(→P93)をほんの少し。レモングラスの柑橘系の爽やかさが、頭をしゃきっとさせてくれる。そこにラベンダーの花の鎮静感がそっと加わって、緊張をやわらかくほどいてくれる。このふたつのハーブが、心をちょうどよい位置へ戻す。
春分の日のように、昼と夜の釣り合いを思わせるバランスで調和する——と書くと、ちょっとキレイにまとめすぎだろうか。でも、実際にそんな感じなのだ。飲んでみればわかる。
マグカップを両手で包み込んで、ひと呼吸。ゆっくりと口に運べば、じんわり広がる温もりが心と身体に染みわたっていく。
自然を敬い、自然に感謝する心を大切にしたいと思っていても、日常では忘れがち。というか、ほぼ忘れている。わたしだってそうだ。でも、ハーブはまさに自然そのものだから、ハーブティーを味わうひとときが、「ああ、自然ってこういうことか」と、やさしく思い出させてくれる。
※ ここでは、本編のエピソードをラノベ調のコラムに編集し直しています。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
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22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)









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