4月12日に開催された自民党大会で自衛官を呼んで制服姿で国歌「君が代」を謳わせたということで野党の一部で非難の声が上がっているという。批判する人は「自衛隊法」で「隊員は選挙権の行使を除き政治的行為をしてはならない」に接触するからだという。どの国にも独自の歴史、憲法が在り、法体制があるから、「自衛官が国歌を斉唱する行為が政治的行為に入る」というのならば、その「自衛隊法」が修正されない限り、他の選択肢はない。

自民党大会に参加した高市早苗首相、2026年4月12日、自民党公式サイトから
ところで、高市早苗首相は3月18日に訪米し、トランプ米大統領と会談されたが、日本側には日米首脳会談でトランプ側からイラン戦争への軍事的関与が議題に上がるのではないか、といった懸念があったという。日本のメディアによると、首脳会談はスムーズに運ばれ、ホルムズ海峡への艦船派遣要請もなかったという。高市首相は日本の憲法問題を理由に、日本が海外で軍事関連活動が出来ないことを説明し、トランプ氏に日本の事情を理解してもらったという。それを聞いて、ほっとした日本人も少なくないだろう。
そのトランプ氏は今、日本、韓国、中国らがイランのホルムズ海峡の封鎖問題で何も貢献していないと名指しで批判しているのだ。どうやらトランプ氏は日本の特殊事情を理解しているとは思えないのだ。ひょっとしたら、超多忙で忘れてしまったのかもしれない。なぜならば、海外に住む日本人の当方が言うのも少々可笑しいが、日本の特殊事情を果たしてトランプ氏でなくても国際社会が正しく理解できるだろうか、と考えざるを得ないからだ。
外国の国旗を傷つけると外国国章損壊罪で罰せられるが、自国の国旗を壊しても国旗損壊罪がないから罰せられない、という日本の法体制を海外の政治家たちは正しく理解できるだろうか。中国共産党から多くのスパイが日本に潜入し、スパイ活動していてもそのスパイを取り締まる法がないということなど、理解できないだろう。日本は自国の法体制の欠如を全て憲法9条のせいにはできない。日本が主権国家であるという以上、日本側の主体的な責任があるからだ。
イエスが安息日に病の人を癒した話が記述されている。イエスを糾弾しようとしていた律法学者や会堂司は「安息日には何もしてはならないと律法に書かれていることを知らないのか」とイエスを批判した。するとイエスは「病んでいる人を癒すことが間違いか。安息日は人のためにあるのであって、人は安息日のためにあるのではない」と答えている。同じことが、日本が戦後米国から与えられた憲法は本来、日本(国民)のためにあるもので、日本(国民)が憲法9条のためにあるのではないはずだ。、憲法は日本(国民)の安全と幸せのためにあるもので、その逆ではないはずだ。
興味深い記事を見つけた。ウクライナのゼレンスキー大統領が13日、「武器製造者の日」に語った演説だ。ゼレンスキー大統領は「武器製造者の日」(the Arms Makers’ Day)の演説で、国内の軍需産業が急速に成長し、自国の防衛に必要な装備を確保できた歴史的転換を総括している。具体的には無人機技術を駆使して歩兵を投入せずに陣地を奪還した成果や、長距離攻撃能力の向上を挙げ、ウクライナを欧州の安全保障パートナーとして位置づけているのだ。
演説は「これが強さの姿だ―戦いの中で、痛みの中で、炎の中で鍛えられた。これが保護の姿であり、自由と正義への意志だ」という言葉から始まる。 ゼレンスキー氏は、「ウクライナが歴史上初めて、ロシアの攻撃を撃退するのに十分な自国製武器を保有するに至った。かつては砲弾の数が戦況を左右していたが、現在は歩兵の勇気と国産ドローンの大量投入が戦場を定義している。‘Made in Ukraine‘(ウクライナ製)」が強さと有効性の代名詞になった。特に海洋ドローン、無人地上車両、自国製弾道ミサイルや巡航ミサイル(ネプチューン)らの兵器が、既に敵地での作戦を可能にしている」と強調する。

「武器製造者の日」に演説するウクライナのゼレンスキー大統領、2026年4月13日、ウクライナ大統領府公式サイトから
また「多くのパートナー国がウクライナの防衛産業への投資や共同プロジェクトに関心を示しており、これは国家の信頼の証である。また、新たな開発の度にそれに相応しい平和への距離が縮まっている。防衛産業が国家主権の基盤である」と述べている。 ちなみに、「武器製造者の日」は、2022年4月13日にウクライナ製の対艦ミサイル「ネプチューン」がロシア海軍の黒海艦隊旗艦「モスクワ」を撃沈した功績を記念するために設置された日だ。
ゼレンスキー大統領の上記の演説内容を読んで、「ウクライナが軍国主義の道を歩み出した」と言って批判する人がいるだろうか。ロシア軍が2022年2月末、突然ウクライナに侵入してきたのだ。軍事大国ロシア軍の軍事侵略に直面し、ゼレンスキー大統領ばかりか、ウクライナ国民は慌てた。一方、侵略者のプーチン大統領は短期間でキーウを制圧し、ウクライナをロシアの支配下に置くことが出来ると考えていた。
その後の展開は読者の皆様もご存知だろう。ウクライナ国民は祖国の防衛のために立ち上がった。同時に、欧米諸国からの軍事支援に依存する防衛体制に限界を感じ、昨年ごろから欧州の軍事産業と連携を深める一方、ゼレンスキー氏が自負したように、メイド・イン・ウクライナの武器を開発していったわけだ。
日本では近年、多くの新しい祝日が生まれたが、ウクライナのような「武器製造者の日」はない。日本では戦後から今日まで軍事関連の言動は常に憲法9条の検閲を受けてきた。しかし、現在の世界情勢を見るだけで明らかになってきた。日本は核大国の中国共産党政権、北朝鮮、そしてロシアに包囲されている。日本が第2のウクライナにならない保証はないのだ。
日本はウクライナから国家の在り方について学ぶことができる。ゼレンスキー氏の「武器製造者の日」の演説内容は日本にとって貴重な教材であり、生きた証だ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年4月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。







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