常滑で感じるタイルとトイレ文化の深層:INAXライブミュージアム探訪記

ゴールデンウィークが終わりました。旅行がライフワークの私ですが、ゴールデンウィークと正月はどこも混雑しているのであまり外出はしません。ただ、五連休ずっと家にいるのもしんどいので、近場にお出かけをすることにしました。

やってきたのは愛知県常滑市の「INAXライブミュージアム」。INAXは住宅設備機器メーカーLIXILの前身となった企業のひとつであり、今もLIXILの衛生陶器、建材などのブランド名として使用されていますが、同社は陶器の町、常滑に本社を置いていました。

こちらの博物館では、INAXのトイレ機器や住宅用タイルの展示のほか、世界のタイルの展示が行われています。

こちらはINAXタイルミュージアム。世界各国のタイルの展示をしています。

入口から別世界に誘われるようなタイルでお出迎えされます。

現存する世界最古のタイルは紀元前2700年のエジプト王朝の遺跡にあります。ヨーロッパではイベリア半島に入ってきたイスラム勢力によって広められ、日本においては6世紀ごろには伝来して寺院の壁などに用いられてきました。

オランダのデルフトで生産された白地藍彩の絵付けタイル。
中国の染付技術を応用して発展しました。

シルクロードや海を渡って、東西の間でタイル交易が盛んにおこなわれてきたことがわかります。千年単位の交流によって今のタイルが存在しているのです。

さて、INAXと聞いて何を思い出すかといえば、やはり便器ではないでしょうか。トイレの文化館では昔の便器から最新型の便器までさまざまな便器を展示しています。

入口では黄金に輝く便座が出迎えてくれます。こんな便座、畏れ多くて用が足せません。

花の紋様が染付けられた和式便器。武家が使っていたようですが、位の高い方は便器も品位が高いです。

藍で染め付けられたデザイン性の高い小便器の数々。藍色って清涼感が感じられるのでトイレにマッチしますね。

昭和中期のトイレ。私が生まれ育った家はこんな感じでしたので懐かしさがこみ上げてきます。こういった和式便座はトイレの水洗化とともに徐々に洋式便器にとって代わっていきます。この50年で洋式便器の出荷率は実に99.6%に達しています。

今や当たり前の存在となった温水洗浄便座。一般的に「ウォシュレット」と呼ばれていますが、これはTOTOの商標名。INAXでは「シャワートイレ」と呼ばれています。もとはアメリカで開発されたものですが、日本で急速に発展しました。訪日客が日本土産に買っていくという実しやかな噂もあるほどです。

ところ変わってこちらは「テラコッタの庭」。テラコッタとはイタリア語で焼いた土のことで、古くから建造物の装飾品に使われてきました。INAXは多くの有名建造物の装飾にも携わってきました。

昭和末期に解体された大阪ビル一号館の装飾。一つ一つ顔が違います。

横浜松坂屋本館。

INAXは、これらテラコッタをはじめとして、住宅用建材の分野にも進出しており、外壁用タイルのほか、室内装飾用のタイルの生産にも力を入れています。デザイン性も高いうえに、防湿、防臭効果も得られるタイルもあり、日々進化を遂げています。

トイレの絵付けは休止中。

博物館内には体験施設もあって、モザイクアートやタイル絵付けもでき、タイルに身近に触れることができ、子供にも好評なようです。週末のお出かけにも最適ですので、ぜひ一度ぜひ一度見学に訪れていただきたいと思います。

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編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2026年5月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。

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