電子タバコも発がんリスクを高める?

Nature Medicine誌に「Electronic cigarette use after smoking cessation and lung cancer risk」という論文が掲載されている。これまでのタバコから電子タバコ(e-cigarette)に切り替えた場合、禁煙後の肺がんリスクにどのように影響するのかは明らかになっていなかった。

martin-dm/iStock

この論文では、過去に喫煙歴のある韓国人成人約452万人を対象に、少なくとも2023年12月まで追跡調査した結果を報告している。禁煙した後に電子タバコを日常的に使用していた人は、電子タバコを一切使わずに完全に禁煙した人と比較して、肺がんの発症リスクが1.56倍(統計的に有意)、肺がんによる死亡リスクが2.00倍(統計的に有意)であることが示唆されていた。

この傾向は、禁煙してからの期間(短期・長期)に関係なく認められており、特に肺がんの高リスク群(元々の喫煙量が多かった人など)において差がはっきりしていた。この研究は電子タバコと肺がんの直接的な因果関係を証明するものではないが、「禁煙した後に電子タバコを使用すること」は、「完全な禁煙によって得られるはずの肺がん予防効果」を帳消しにしてしまう可能性がある。

この結果は興味深いが、完全に禁煙できた人たちと、電子タバコのい依存してしまった人たちでは、従来のたばこを喫っていた量や期間に差があると考えられるので、電子タバコそのものの影響なのか、そもそも2群間で大きな背景要因の違いがあったのか解釈が難しい。とはいっても、このような大規模研究を実施したことを高く評価したい。

日本のように中途半端に研究を支援せず、「どの規模でどの程度追跡すれば、意味のある結果が得られるのか」を考えた韓国の研究者とその支援機関に拍手を送りたい。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2026年6月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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