KADOKAWAが募集人数の上限無しという早期退職募集に踏み切り、話題となっています。
以前の経営者が「終身雇用って素晴らしい」って言ってた会社が「募集人数の上限なし」っていうハードボイルド早期退職募集するの、時代の変遷を感じますね。 https://t.co/xOdzWDXsIY
— jo shigeyuki (@joshigeyuki) May 14, 2026
ちなみに「終身雇用って素晴らしい」と言っていたのは川上さんです。そういう会社が「上限無しの早期退職募集」に舵を切ったことに時代の変遷を感じますね。
ところで、元記事についてるレスを見ていると、早期退職というと今でも「優秀者が割増退職金を手にして颯爽と転職し、ダメ社員ほど必死にしがみつく」という光景をイメージしている人が少なくないようです。
確かに、15年位前までは早期退職募集というとそういうイメージでしたね。人事部が優秀者は慰留しつつ、辞めて欲しい層は手を挙げるまで繰り返し圧迫面接するなんてことを、あちこちのJTCでやってましたから。
【参考リンク】NECのリストラ面談やり取り生々しく再現 「会社って、ここまでするのか…」
ただ、ここ数年でかなり状況は変わってきています。
現在も早期退職募集は大流行中ですけど、少なくとも“圧迫面談”や“リストラ部屋”といったかつてのダークな話は全く聞こえてきませんね。
【参考リンク】2025年度の「早期・希望退職」 は2万781人 約7割が「黒字リストラ」、2009年度以降で4番目の高水準
2000年代の早期退職と今のそれは、何が違うんでしょうか。
一見すると圧迫面談がなくなった分、今の労働者は恵まれているようにも見えます。でも、世の中にそんな美味い話ってあるんでしょうか。
いい機会なのでまとめておきましょう。

「賢者が去り愚者が残る」とは一概に言えなくなったワケ
何度か言及していますが、現在、日本企業は以下の2つのトレンドにより歴史的な転換点を迎えています。
・ジョブ化
従来の日本企業は、勤続年数に応じた実質的な年功給が基本でした。
ジョブ化とは、実際に担当する業務グレードにより賃金を決めるジョブ型賃金への移行のことですね。この流れはここ数年で一気に加速した感があります。
確かに、働かないオジサンの年功給をいきなり半分にするといった荒療治は難しいのが現実です。でも少しづつ見直し対象としつつ、若手については大抜擢もするというのが現在の主流ですね。
・インフレ
終身雇用下の日本では、クビはもちろんのこと一度上げてしまった賃金も後からカットするのは事実上不可能です。
でも、「賃上げせずに据え置くことで、実質賃金を下げる」ことは可能です。
ほとんどの人が気付いてないんですけど、実はインフレって日本企業にとっては「優秀者だけ賃上げし、いらない人間の実質賃金を下げられるボーナスステージ」なんですね。
ほとんどのJTCはこのチャンスを見逃すことなくフル活用している印象です。
(新しいことを全然やりたがらないという意味で)人事が保守本流と言われるNTTでさえ、結構エゲつない差をつけてますね。
【参考リンク】NTT発表 ベア1万1000円→実は…700円
もちろん、日本企業全部がそうというわけではありません。人事がアホしかいない企業は相変わらず年功賃金ベースで労使交渉し、猫も杓子も横並びで昇給させたりしちゃってます。
結果、現在の日本企業は、ものすごく社員間でメリハリのついている企業と、90年代から大して変わり映えのしない悪平等の会社に分かれています。
大雑把に分けると、それぞれ社内の状況はこんなイメージです。
1.メリハリのついている企業
優秀層の満足度=高い 非優秀層の満足度=低い
2.悪平等の企業
優秀層の満足度=低い 非優秀層の満足度=高い
いま黒字リストラを敢行している企業は、既にそれなりのメリハリを社員間につけられていて、そうたやすく優秀層だけが流出するリスクは無いと判断しているんでしょう。
むしろ手を挙げるのは、賃金据え置きで苦しくなっている非・優秀層の側だろうという手ごたえもあるはず。
これが2000年代と違い、現在の日本企業から“圧迫面談”や“リストラ部屋”といった言葉が聞こえてこない理由ですね。
当時はデフレ真っただ中で、ジョブ型賃金(職務給)なんて言葉も人事以外は誰も知りませんでしたから、2番の悪平等企業ばかりでした。
リストラは必然的に「優秀者を慰留しつつ、辞めて欲しい人間の指を一本一本引きはがす」ような凄絶なものにならざるをえなかったんですね。
KADOKAWAですか?
あくまで印象なんですが、筆者は同社の人事が上記のような観点を踏まえているようには思えないんですよね。
たぶんなんとなく自分たちも1番でいけると考えて早期退職募集をかけたんじゃないでしょうか。
でも蓋を開けてみると……なパターンにならないことを祈ってます。
■
以降、
実は、いらない人材を辞めさせても組織は活性化しない
優秀層を慰留してもほとんど意味はない
Q:「地味なメーカーで女性採用を増やすにはどうすればいいでしょう?」
→A:「新卒で無理しなくてもいいです」
Q:「第二の就職氷河期は違う顔でやってくる?」
→A:「ある意味、きついと感じる人には氷河期より全然きついでしょう」
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