皇室典範は今国会で改正できるのか:要綱が了承されても消えない火種

皇族数の確保に向けた皇室典範改正案の要綱が、衆参両院の正副議長と各党・各会派代表者による全体会議で了承された。森英介衆院議長は、付帯決議による補足と明確化を前提に、要綱はこれまでの取りまとめに沿ったものだとして了承したと説明した。政府はこの了承を受け、30日にも閣議決定する見通しだ。

維新からも異論、立憲は「女性皇族案のみ」主張

要綱の柱は2つある。第1は、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持できるようにすることだ。経過措置として、法律施行時点での女性皇族については、結婚時に本人の意思で皇族の身分を離れることもできるとされた。

第2は、皇族の養子を禁じる現行規定を維持しつつ、例外として旧宮家の男系男子を皇族の養子に迎える制度を設けることだ。対象は、戦後に皇籍を離脱した旧宮家のうち、配偶者と子どもがいない15歳以上の男子とされている。

しかし、了承は決着を意味しない。むしろ、法案審査に向けて火種が残った形だ。まず、与党内からも異論が出ている。日本維新の会の藤田文武共同代表は、旧11宮家の男系男子を養子に迎える案について、15歳以上という年齢制限に異論を唱えた。

一方、立憲民主党は、残りの会期を考えれば、女性皇族が結婚後も皇室に残る案に絞って法制化するのが現実的だと主張した。つまり異論の多い養子案の一括処理には慎重な立場を崩していない。

さらに、共産党や社民党などは、そもそも今回の取りまとめを「立法府の総意」と呼ぶこと自体に反発している。全体会議でも複数党派が反対しており、女性天皇・女系天皇の議論を避けたまま法制化を急ぐのは国民的議論を欠くと批判している。

皇位継承という肝心の問題は先送り

今回の要綱は皇族数の減少への対応策だが、皇位継承という中核の問題を先送りした。女性皇族の夫や子をどう扱うのか。旧宮家から養子を迎えた場合、その子孫の皇位継承資格をどうするのか。そもそも希望者はいるのか。制度の実効性にはなお疑問が残る。

高市政権としては、今国会で皇室典範を改正して女系天皇を排除し、保守層に対して男系維持の姿勢を示したい思惑がある。他方で皇室制度は通常の法案とは違い、強行採決や多数決の論理だけで処理すれば、かえって「国民の総意」との距離が問われる。

要綱は了承されたが、それはゴールではなく、政局の入口である。付帯決議でどこまで曖昧さを補えるのか。法案審議で野党の反対論をどう処理するのか。皇室典範改正は、成立前からすでに、国会の合意形成能力そのものを試す案件となっている。

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