教皇レオ14世の「建国記念日」の24時間

第267代ローマ教皇レオ14世は米国人(本名ロバート・フランシス・プレヴォスト)だ。レオ14世は米国の建国記念日の4日、ワシントンではなく、イタリア南部のランペドゥーザ島を訪れ、アレーナ競技場で野外ミサを執り行い、難民問題を抱える欧州に対し、「移民という歴史的課題に対して人間的かつ包括的な対応を見出すべく、その独自の潜在力を活かし、それに伴う責任を果たすべきだ」と呼びかけた。

ところで、トランプ大統領からワシントンでの建国250年を祝う祝賀会に招待されたが、断ったという報道もあったが、誤報だ。教皇レオ14世は、トランプ政権の強硬な移民政策や外交姿勢に対してたびたび批判的な姿勢を示し、両者の間で対立が続いているのは事実だが、建国250周年の招待を断ったという情報はない。教皇には建国記念日を祝う為に自身の過ごし方があったのだ。それがランぺドゥーザ島への訪問だったわけだ。

イタリア最南端の島ランペドゥーザ島沖で2013年10月3日、難民545人がボートに乗り、波の荒い秋の海をリビアのミスラタ海岸からスタートし、約140キロ先のランべドゥーザ島を目指したが、途中乗った船が火災を起こし沈没し、360人が犠牲となった。マルタのジョセフ・ムスカット首相は当時、BBC放送とのインタビューの中で「欧州連合(EU)は空言を弄するだけだ。どれだけの難民がこれからも死ななければならないか。このままの状況では地中海は墓場になってしまう」と嘆いた。

シチリア島沖に浮かぶこの小さな島は「欧州への玄関口」として知られている。多くの人々が、過密状態で航海に不向きな船に乗り込み、欧州への到達を試みる中で、海上で命を落とした。

レオ14世は「「地理的な位置と制度的枠組みを考慮すれば、欧州はこの地域の危機に対し、包括的に対処しうる立場にある。移民を温かく迎え入れ、保護し、その可能性を伸ばし、社会に統合すると同時に、誰も移住を余儀なくされることのないよう開発を促進するものでなければならない。このプロセスのあらゆる段階において、一人ひとりの尊厳が守られなければならない。これは公的機関だけでなく、市民社会全体、そして教会が担うべき務めだ」と述べた。

レオ14世は「この海で命を落とした人々は、下された決断と、下されなかった決断の双方の犠牲者だ」と述べている。レオ14世は米国の建国250年記念日に同島を短時間だったが訪れ、ミサを行ったわけだ。ちなみに、前教皇フランシスコはランぺドゥーザ島を訪問した際、「無関心のグローバル化」という言葉を述べ、移民への思いやりが次第に消滅してきていると警告を発していた。

その後、レオ14世は4日夕刻(現地時間)、駐聖座のブライアン・フランシス・バーチ米国大使の招きを受け、同大使公邸を訪問した。同大使は2025年9月から駐聖座米国大使を務めている。バーチ大使は、「同胞である米国人、そしてローマの司教と共にこの特別な日を祝えることを、深く光栄に思います」とコメントした。

ちなみに、教皇レオ14世は、建国250周年に合わせてアメリカの「リバティ・メダル(自由勲章)」に選ばれ、フィラデルフィアの国立憲法センターに向けてバチカンからビデオ形式で演説を行った。演説では、米国の建国の理想について言及し、アメリカが移民によって形作られてきた歴史を称賛し、自由と人間の尊厳を守るよう訴えている

なお、教皇はアメリカに向けて「建国250周年記念書簡」を正式に発表している。その中で、「移民を歓迎し、保護することが建国の理念である」と言及した。教皇レオ14世は公開書簡の中で、「独立宣言署名から250周年を迎えるにあたり、すべてのアメリカ国民に祝意を表明する」と述べている。

教皇は、1776年7月4日に行われた独立宣言の署名を、自身の祖国の歴史における極めて重要な瞬間――「自由、平等、幸福の追求、正義、そして民主的な自治という理想に、永続的な声を与えた瞬間」――と捉えている。教皇レオは書簡の後半で、「何人(なんぴと)も、自らの良心に従って祈り、強制や恐れを抱くことなく公然と信仰を実践する権利がある」を指摘。そして「信教の自由こそアメリカの理念の核心である。それは、個人の尊厳と、多様な人々の平和的共存の双方を守るものだからだ」と強調している。

以上、教皇レオ14世の建国250年記念日での歩みだ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年7月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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