最大震度7を観測した熊本地震の後、イオンモール熊本(熊本県嘉島町)で起きた大規模爆発について、経済産業省は5日、LPガスが原因となった可能性が高いと発表した。
経産省は警察や消防、九州産業保安監督部などと合同で現場を確認し、爆発の原因について関係機関の認識が一致したとしている。LPガス販売事業者からは、熊本県を経由して法律に基づく事故報告書が提出された。
ガス発電機説とは別の問題
経産省は3日、SNS上で拡散していた「屋上のガスコージェネレーション設備が爆発した」とする情報について、同施設にはガスコージェネレーション設備もガス発電機も設置されていないと否定していた。
今回、LPガスの可能性が高いとされたことは、この発表と矛盾しない。否定されたのは、あくまでガスを使った発電設備の存在であり、施設そのものにはLPガスが供給されていた。
爆発直後には、屋外に設置されていたLPガスタンクが破損せずに残っていることも確認されていた。このため、LPガスが漏れたとすれば、地震によって施設内へ延びる配管や接続部分などに異常が生じた可能性が焦点になる。
LPガスとは何か
LPガスは「Liquefied Petroleum Gas(液化石油ガス)」の略称で、主成分はプロパンやブタンである。常温では気体だが、比較的低い圧力をかけると液体になるため、ボンベや大型の貯槽に大量に保管できる。一般に「プロパンガス」と呼ばれるものもLPガスの一種だ。
LPガスは本来、無色無臭だが、漏れたことが分かるよう人工的に臭いが付けられている。特に注意が必要なのは、プロパンが空気の約1.5倍、ブタンが約2倍重いことである。漏れると上方へ逃げず、床付近や地下、くぼみなどに滞留しやすい。そこに電気設備の火花などの着火源があれば、爆発する危険がある。
ただし、LPガスだから必ず大爆発になるわけではない。被害の大きさは、漏れた量や濃度、滞留した空間の広さ、密閉状態、着火源の位置などによって変わる。
都市ガスやLNGとの違い
都市ガスは、主にメタンを成分とする天然ガスを原料とし、道路の下に敷設された導管を通じて建物へ供給される。メタンは空気より軽いため、漏れた場合は基本的に上方へ広がる。一方、LPガスは空気より重く、床付近や低い場所にたまりやすいという大きな違いがある。もっとも、都市ガスも閉鎖空間に滞留すれば爆発する危険があり、安全だという意味ではない。
LNGは「Liquefied Natural Gas(液化天然ガス)」の略称であり、天然ガスをマイナス162度程度まで冷却して液体にしたものだ。海外から船で運びやすくするための形態で、国内の基地で再び気体に戻され、主に都市ガスとして供給される。
これに対し、LPガスは石油精製や天然ガス生産の過程で得られるプロパンやブタンを液化したものだ。LNGとLPガスは、どちらも液体の状態で輸送・保管されるが、成分も液化方法も供給設備も異なる。LPガスはボンベだけでなく、商業施設などでは大型のバルク貯槽から配管を通して供給される場合もある。
また、プロパンは同じ体積で比べると、一般的な都市ガスの2倍以上の熱量を持つ。ただし、実際のコンロや給湯器では機器側で使用量が調整されるため、通常の使用時にLPガスの火力がそのまま2倍になるわけではない。
遮断装置は作動したのか
経産省は今後、ガスがどこから漏れたのか、地震を感知して供給を止める遮断装置が正常に作動したのか、設備の設置や管理に法令・基準上の問題がなかったのかを詳しく調べる。
LPガスは空気より重く、漏れると床付近や低い場所にたまりやすい。一定の濃度に達したところで電気設備などが着火源となれば、大規模な爆発を起こす可能性がある。
経産省は今回の事故を受け、全国のLPガス事業者に対し、大規模施設に設置された供給設備の緊急点検も要請した。
避難後に失われた7人の命
爆発は7月28日午後5時50分ごろ、地震発生から約1時間20分後に起きた。店内にいた約3000人の客は午後5時までに避難を終えていたが、施設内に戻ったテナント従業員7人が犠牲となった。
事故原因の解明と同時に問われるのは、なぜ従業員が避難後の建物へ戻ったのかという問題である。設備上の異常だけでなく、ガス漏れの可能性がある被災建物への再入館を防げなかった危機管理体制についても、徹底した検証が必要だ。







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