いまだに「デフレマインド」を心配する高市首相の頭は大丈夫か

池田 信夫

高市早苗首相が14日、物価高対策についてXに5回連続で投稿した。その中で気になるのが、最後の「物価高対策⑤」である。

日本はまだ「デフレ」なのか

いまだに「デフレ脱却」を掲げているが、2025年度の消費者物価指数は総合で前年度比2.6%である。足元の2026年6月は前年比1.7%だが、これは首相も認めるように

  • ガソリン暫定税率廃止や燃料油補助等により、0.7%ポイント
  • いわゆる教育無償化により0.3%ポイント

つまり合計1%「上げ底」になっているので、現実の物価上昇率は2.7%で、G7諸国の平均程度のインフレである。これは日銀も認めている。高市氏はデフレと不況を混同する錯覚から、いつまでたっても抜け出せない。

高市氏は「物価は上がったが、デフレマインドが払拭できない」という。これは便利な言葉である。インフレが3%になっても4%になっても、人々の「マインド」がデフレだったら使える。これは財政赤字を拡大するためのマジックワードである。

「インフレが成長を生み出す」という錯覚

経済成長には、一定の物価上昇が伴います」というのは、どういう意味だろうか。高度成長期のように成長すると物価が上がるが、その逆は真ではない。ウクライナ戦争以来、この5年で日本の物価は12.5%上がったが、実質成長率は2.5%しか上がっていない。原油高や円安で物価が上がっても、経済成長には結びつかないのだ。

「デフレマインドからチェンジしなくては、日本経済は成長しません」という高市氏の思い込みは、因果関係を逆に見た錯覚である。インフレは成長の結果であって原因ではないのだ。いま政府が警戒すべきなのはデフレではなく、インフレが金利上昇や円安をもたらし、日本人を貧困化していることだ。

「インフレ税」は経済に大きなゆがみをもたらす

おかげで高市首相も自慢するように政府債務の名目GDP比は下がっているが、名目成長率が上がっている原因は、成長ではなくインフレである。これがインフレ税だが、高市首相が戦略的にインフレ政策をとっているようにも見えない。

政治的には「インフレ増税する」とはいえないので、こういう混乱した説明になるのだろう。あるいは本気で「デフレマインド」を心配し、インフレが望ましいと考えているとすれば、心配すべきなのは国民のマインドではなく、首相の経済認識である。

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