企業サイトの担当者様。モバイルシフトを本気で考えましょう

パソコンとはもはやPCのことではなく、スマートフォンのことである、そう認識しましょう。

iPhone5を入手して2週間。僕のはソフトバンク版ですが、LTEは速いし、つながりやすくもなったので、概ね満足しています。仕事のやりとりはほぼiPhone経由なのでバッテリーの減りが異常に早いのは閉口しますが、それでも4Sで使っていた携帯バッテリーとiPhone5をつなげられるアダプターも手に入ったので、とりあえず日々の利用に問題はなくなりました。みなさんはいかがでしょうか?

僕が日常的にどんなガジェットの使い方で仕事をしているかを紹介してみたいと思います。僕はIT業界に長くいますが、エンジニアではなく(起業家として)経営サイドの人間です。しかし、プロダクトの開発についてはコンセプチュアルデザインを手がけるクリエイターでもあります。同時に企画営業にも責任を持つ立場にいます。まあ、かなりマルチタスクなわけで、オフィスに一日中いるということは滅多になく、逆にオフィスに一度もいかない日の方が多い状態です。また、ソーシャルネットワークサービス事業も行っていることから、そうしたコミュニティのメンテナンスのため土日や深夜も関係なく、タスクが発生することも多々あります。


そういう日常の中で、僕がどのように業務に当たっているかというと、まず(従前ならどこにいくにも携帯していたはずの)MacBook Airはデスクに、MacBook Proは自宅に置きっぱなしになりました。iOS6とiCloud(そして時々使うGoogle Disc)によって、作成した資料はどこにいても、どのデバイスを使っていても最新の形に同期されて、すぐに使うことができるので、Mac(WindowsユーザーにとってはPC)を持ち運ぶことが完全になくなりました。クライアントやチームとのコミュニケーションはiPhoneで行います。打ち合わせをして、アナログでホワイトボードやノートに書いたメモを写真にとって議事録としてシェアするようなこともあります。日常的なメール(SMSやFacebookメッセージなども含めて)は、80%くらいはiPhoneで済ませているのです。

より長い文章(例えばこのBlogなどの原稿)はiPadを使って書きます。KeynoteもMacで70%くらい仕上げてあれば、あとはiPadで完成させます。プレゼンや営業説明はiPadで(ときどきウケ狙いでiPhoneで)行うので、ここでもMacの出番は無くなりました。さすがに本の原稿を書くような場合はMacを使いますが、入力デバイスとしては優れていても、それらを読み返したりWebで調べ物をするにも、もはやiOSでバイスのほうがMacより楽だし簡単になりました。もともとMacのヘビーユーザーであるはずの僕でさえ、ノートブックやデスクトップを使うニーズは激減しています。検索も、ちゃんと自分で統計を取ったわけでもないですが実感では80%くらいはiPhoneで行っています。

最近僕たちは2人の著名な女性アーティストに対して、彼女たち専用のファンサイト型SNSのプラットフォームを提供していますが、利用者の60%はスマートフォンでアクセスしてきています。(通常は新しいネットサービスを立ち上げれば、初期ユーザーはアーリーアダプターでありアルファブロガー的な人たちが試しに使う、という形が多いわけですが、これらのSNSの場合は逆にあまり新しいサービスには飛びつかないタイプのユーザーばかりです。アーティストに触れ合いたいばかりに”見慣れないサービス”への戸惑いというハードルを乗り越えてきているのです。)

PCやMacからではなく、スマートフォンやタブレット用にまずデザインをして、ユーザーインターフェイスの設計をすることをモバイルファーストと言ったりします。たいていの企業サイトはスマートフォン用にCSSを切り替える努力を怠っており、ユーザーがスマートフォン上で指で広げて読んでくれることをまだ期待しているようですが、もはやユーザーはその作業をする手間さえ惜しむようになってきています。僕たちのようにIT業界、ネット業界で生きている人間でさえ、モバイルへの依存度は半端ないのです、デスクワーク以外の時間にPCを使ってくれるなんて考える人は、前時代的、とそしられてもしょうがない、そう思うべきです。

小川浩@ogawakazuhiro