東京大学・本田由紀教授の皇族差別発言事件が大炎上していますが、議論の多くは本田教授の発言の意図に感情的に注力するものが多く、もっと「根源的な問題」に注目しない人が多い印象です。
発言の意図よりも「根源的な問題」
「根源的な問題」とは、本田教授をはじめ、東大や日本の大学には、どんな人が雇われているのか?ということです。
試しに、外部でのメディア出演や政治活動に熱心に参加する時間がある文系教員の出版した査読論文を見ると、たった数本しかなかったり、国際的に評価されている論文はほぼ皆無だったりします。
医学系や工学系、理系はそんなことはなく、多くの論文を出版し、研究成果を出している研究者が数多くいます。
法学や経済学、経営学は理系よりは少ないですが、ほぼゼロというわけではありません。
国際基準で見た文系研究者の業績
しかし文系教員の場合は、例えば海外では学者の実績を見るのに一般的に使われるスコーパスというデータベースを調べると、ある教員は、25年間で査読論文が2本しかなく、引用が26回しかなかったりします。
しかもそれは社会学者だったりします。
社会学は一応「社会科学」で、私の知っている限りでは、北米や欧州では統計データ等を駆使して、今の社会の状況や特定集団における行動を調査し、それを政策立案やビジネスに活かす学問です。
従って、研究成果は世界に向かって発表するのが当たり前で、当然、海外の学術論文誌に研究成果を掲載するのです。
ところが日本は、東京大学の教員でも、25年間で論文が2本しかなかったりする。引用は26回しかない。つまり、その教員の方の学生やお友だちさえも引用しなかったということになります。
その成果では、今の時代、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアでは、博士号を取得したばかりの人が講師の職に応募するのも厳しい状況です。
そのような実績の人が、なぜ我が国の最高峰である東京大学で教授になっているのか?
しかもresearchmapという研究者の実績をまとめた日本のサイトで日本語の論文を見ても、東京大学を含めた日本の文系の教員の論文は、国際基準では驚くほど数が少ないのです。

Sanga Park/iStock
本田由紀教授の研究業績
例えば本田由紀教授の場合、論文は1991年から2026年までで31本で、すべてに査読があるわけではありません。そのうち10本は紀要です。海外先進国だと、紀要は学内のニュースレター的扱いになるので、「実績」としてはカウントされない場合があります。その場合は35年間で実質21本です。
教育をやっているとか、一般書を書いているから業績だという人もいるようですが、他の先進国の研究者もそれはやっており、日本よりはるかに厳しい授業評価にさらされていたりします。一般の人向けの書籍は業績にはカウントしません。しかもアメリカとカナダの場合は、研究資金集めの目標もあったりします。ものすごく厳しいです。実績に満たなければ、昇給や昇進、雇用にすら影響があります。
日本政府は「国際的に卓越する大学」を増やしたいようですが、正直言って、国際基準では全く仕事をしていないと判断される人々が、日本の最高峰の大学で教授職にあり、政府の委員会などの要職に就いているという実態を、なぜ誰も批判しないのでしょうか?
そして、国内外で博士号を取り、査読論文が多数ある人が、なぜ同等の職を得ていないのでしょうか?
国際基準での業績で考えた場合、そのような人々の方が業績があると言えます。
しかし、そういう人々は地方の大学の教員だったり、非常勤講師だったりします。都内の大学にもいます。東大ではありません。私が実際に存じ上げている方々です。
そのような方々は外国語も流暢で、学位は当然、海外の有名大学で取得し、査読論文があり、海外の大変厳しい環境で研究と教育双方をやってきたのです。査読論文の数や質が東大の教員以上の方もおります。
不透明な人事で「国際卓越大学」をつくれるのか
このようなよくわからない人事や業績評価が当たり前なのが日本の大学です。政府は巨額の税金を使っているのに何も言いません。
日本政府は本当に日本の研究基準や大学のレベル、そして日本国自体のレベルを上げたいのか。疑問に思わざるを得ません。
さらに、そのような実態は、海外先進国の大学の中の人々は実によく知っています。だから日本の大学には来ないのです。子どもを留学させることもしません。時間とお金の無駄になるからです。安くても機会損失は避けたいからです。
評価が公平ではなく、世界基準ではない、しかも報酬は母国の半分以下です。そんな腐敗した発展途上国、ソ連の末期のような所に優秀な研究者は来ません。
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日本の常識は欧米の非常識 新聞やテレビでは学べない世界の現実
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