愛子天皇の可能性についての「10大誤解」を斬る

新刊『誤解だらけの皇位継承の真実』では、皇位継承問題を論じるに当たっての20誤解をあげてわかりやすく反論している。

そこで、そのまたエッセンスを『愛子天皇』と『皇室典範改正』にわけて10問ずつに分けて紹介したいと思う。まずは、愛子天皇篇だ。

愛子内親王 宮内庁インスタグラムより

①愛子天皇など女性天皇の可能性はあるのか

女性天皇は絶対にダメだと言っている人は少ない。ただ、愛子さまを天皇にというのは、すでに秋篠宮さまを次期天皇とすることを、2018年に「退位についての法律」で確認し、国事行為として立皇嗣礼という儀式までしているのである。

さらに悠仁さまが誕生以来、将来の天皇として育てられ、帝王学を学んで来られた経緯もある。つまり、不可能ではないが、国民統合の象徴である皇室が分裂の引き金になってはいけない。

一般論として女性天皇にどんな問題があるかというと、女性天皇の夫を日本の皇室は経験していないので、結婚された愛子さまが天皇になるのは、未知の領域であるがゆえの慎重さが求められる。

帝王が男系男子の継承を原則とするのは、世界共通である。外部からの干渉を排して、正統性を維持するのに有利だからである。英仏百年戦争は、外祖父がフランス王だった英国王がフランス王位を狙ったのをジャンヌ・ダルクが撃退したものである。

②ヨーロッパの女王国が増えているそうだが

たしかにそうなのだが、すでに生まれた子には新しい原則を適用しないのが原則であるから、秋篠宮さまや悠仁さまに代えて愛子さまにするのは乱暴すぎる。

また、国連の人権委員会は完全な男女平等にするように意見しているが、ヨーロッパでも男系男子の国はあるし、スペインも男子優先を守っている。

また、ヨーロッパ諸国でも女王の夫は例外なく頭痛の種である。英国では、エリザベス女王の夫であるフィリップ殿下に王配殿下の称号をチャーチルが与えなかったので、殿下の不満が極大化し、王家の混乱の発端になった。

オランダでベルンハルト殿下は妻妾同居を強行し、クラウス殿下は深刻なうつ病に悩んだ。デンマークのヘンドリク殿下は、男女平等なのだから、国王の妻がクイーンなら女王の旦那はキングであるべきと要求したが入れられず、怒って王家からなかば離脱した。

③小泉内閣時代の女性天皇・女系継承案はなぜ消えたのか

今回の皇室典範改正は、2022年に岸田内閣に提出された「皇位継承に関する有識者会議」の報告に基づいたものだが、多くの人が小泉内閣の2005年の「有識者会議」との関係を理解していない。

小泉内閣の有識者会議は、内閣が私的諮問機関として設置したもので、愛子天皇を念頭に置いたものだったが、悠仁さまの誕生で前提条件を失ったので宙に浮いた。

そこで「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」の国会付帯決議で、第2次の皇位継承に関する有識者会議で検討することが定められた。

そして、新しいメンバーでの有識者会議が報告を出したので、小泉内閣時代の有識者会議報告は上書きされた、つまり法律で言えば改正されて否定されたわけである。

④新制度が愛子さまの結婚相手探しを難しくする?

女性皇族が結婚したら皇室を離れる現行制度では、結婚相手にとって経済的負担は大きく、結婚相手が現れにくいのが現状である。逆に、夫も皇族になる女性宮家案では皇室会議の承諾などが必要になるし、いわゆる婿養子であるから男性の実家が嫌がる。

女性皇族本人のみ残留なら、3000万円無税の年俸と赤坂御用地内の邸宅がもらえ、姓も変える必要がなく、仕事も続けられるので、なり手が容易に見つかるだろう。

⑤女性天皇や女系継承を認めたら皇室は安泰なのか?

皇位継承権を男系男子に限定すると、皇統を継げる男子が誰もいなくなる可能性が高いので、女系継承を認めるべきだという人がいる。しかし、男系男子は旧宮家の未婚の男子だけで11名いるし、もっと増えるだろう。

一方、女系派の人たちは、「悠仁・愛子・佳子さまの子孫」に限定することを主張している。しかし、わずか3人の男女では、何世代かのうちに何割かの確率で、女系を含めても子孫が断絶する可能性がかなりある。

しかも、女系も含めて過去の天皇の子孫を探すなら、昭和天皇の長女で東久邇宮家に嫁いだ東久邇成子さんの子孫になるが、女系論者は、だいたい、旧皇族の復帰が憲法上問題があると言う。したがって、彼らの言う「違憲論」は潜在的な天皇制廃止論なのだが、日本国憲法がそういう趣旨だとは誰も思わないのではないか。

⑥側室制度がないと男系男子は維持できないのか

側室制度がないと男系男子は維持できないという人がいるが、ヨーロッパでは嫡出しか王位継承権がないのが普通で、男系男子が側室制度がないと成り立たないなどというのは無知の極みである。

天皇が世襲である以上、皇族の妃となる人は、普通より多くの子を産むつもりの方でないと困るが、親子継承にこだわらなかったらプレッシャーはそれほど大きなものではない。

⑦愛子さまと旧宮家の男子との結婚はあるのか

愛子さまと旧宮家男子を結婚させたらと言い出したのは、学習院大学教授でタレントとしても知られていた篠沢秀夫氏である。当時、私は皇室の人々は、近親結婚の弊害を身をもって知っておられ、避けたがっておられるので難しいと反論した。今から20年以上前のことである。

皇室女子は血縁関係が割に濃いところに降嫁されているが、皇太子などの妃には近親者の女性はなっていないから、皇室では配慮してきたのだと思う。上皇陛下のお妃候補として北白川家、今上陛下のときには久邇家の女性が候補と言われたが、皇室では避けたようである。

従って、賀陽家は皇室との近親性はあまりないので、遺伝的問題は少ない。安倍晋三首相が、悠仁さまに男子がなかったときに備えて、賀陽家などの男子と愛子さまに結婚していただくとよい、といった趣旨の話を私も聞いている。ただ、あまりにも前近代的なので私は反対である。

⑧持統天皇など過去の女帝はつなぎだったのか

推古天皇から孝謙天皇までの6人は、同時代の男性天皇よりも実力者だったと言える。

ただし、女性天皇がお飾りでなかったからといって、男系継承が原則だったことを否定するのは、理屈の飛躍である。むしろ、女性天皇の役割は、皇統を引き継ぐべき皇子が若すぎるときに、ほかの男性が天皇にならないようにして、正統な皇子が帝位に就く邪魔にならないようにしたとみるべきである。

古代にあっては、天皇になるにはだいたい30歳以上で、あとは退位することなく死ぬまで天皇を続けた。たとえば、持統天皇が即位したのは、正統な天皇候補である文武天皇の成長を待つためである。

⑨秋篠宮皇嗣家と天皇ご一家の人気逆転はなぜ起きた

秋篠宮家たたきは、眞子さまと小室圭氏との婚約騒動に始まっている。それに、天皇ご一家が批判を受けにくく、皇嗣家が叩かれやすいのはいつの時代も同じである。

秋篠宮御夫妻は、上皇陛下御夫妻の気質や価値観を引き継いで、自分にも人にも厳しい傾向がある。紀子さまは3人の子をもたれ、教育ママで、いわゆる良妻賢母である。それで高評価だったのだが、現在ではすべてが裏目である。

秋篠宮家の皆様 2025年 宮内庁HPより

平成時代に攻撃されていた天皇ご一家は、人気沸騰である。陛下は、家族にも、ご学友にも、おそばの人たちにも優しい方だが、それが天皇として良いことばかりとは言えない。現実に令和になって内外における公務が劇的に減少しているのは、否定できない。

しかし、いまは、雅子さまに上皇御夫妻がかけた期待が時代遅れで、美智子さまは、昭和の良妻賢母の理想を皇室という難しい環境で、類いまれな才能を発揮してやってのけたのだが、それを雅子さまにも実践するように求めたとして、SNSで美智子さま叩きが進行するという異常事態である。

⑩悠仁さまと愛子さまとどちらが天皇に向いているのか

悠仁さまへのバッシングは、ほとんど学習院で学ばなかったことに対する批判に起因していると思うが、これはまことに不当なものである。現在の学習院に皇族男子の教育についてのノウハウも経験もないし、眞子さま、佳子さまが嫌がられて外部に出て、愛子さまは大学でも3年間、ほぼ登校されず、学生生活もほとんど経験されないまま卒業されたのだから、悠仁さまが回避されても不思議はないのである。

これまでのところ、悠仁さまは背伸びした学校に通われているわけではないし、交友関係もまったく普通である。礼儀も正しいし、体力もあるし、気品もある。

それに対して、愛子さまは、大学へもほとんど通学されないままだったし、成年の儀では記者会見を延期されたり、大事な行事の一部を割愛された。また、公務の開始も内容も眞子さまや佳子さまに比べて遅れている。


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