今週、書籍関係の会社を経営する複数の方々とお会いする機会がありました。昨晩も、ここ数年事業を拡大している出版社社長と会食(写真)したのですが、「出版業は成長産業である」という新しい発見がありました。
出版不況と呼ばれ、ビジネス書の販売部数も一部のベストセラーを除けば、刷り部数が小粒になりました。さらに多くの出版社はリスクを恐れ、2番煎じのような作品ばかりを制作し、それがまた市場を縮小させるという悪循環に陥っています。
書籍を書店で購入する人の数は確かに減っています。しかし、書籍を出版したい、著者になりたいと言う人の数は逆に増えています。出版社にとっては読者も大切なお客様です。それと同じように著者も顧客として考えれば新しいビジネスモデルが構築できるのです。
書籍にはネットとは違う強みがあります。それは「信用」です。上場企業に勤めているとローンを借りる時の銀行からの信用力が高まるのと同じように、出版をして著者になるとビジネスの展開が随分楽になります。また、出版をきっかけに雑誌や新聞、テレビ、ラジオといったメディアの取材が入れば、それもさらに知名度を高め、信用力を高める作用があるのです。
もちろんどんな本でも良いのではなく、そこには一定のクオリティが求められます。
従来の老舗出版社のように、ただ編集者が職人のように作品の出来だけに力を注いでも、縮小する市場ではビジネスとして成長はできません。書籍を出発点にして、他のビジネスにどのように展開していくかというビジネスとしての構想力が重要になってくるのです。
あまり具体的なアイディアはここには書けませんが、例えば販路に関して言えば、書店でコツコツ売っているだけではなく、コンビニや雑貨店といった他の販路への拡大する方法を工夫する。告知方法も、新聞広告のようなリアルだけではなく、ネット上での展開を考える。商材も、書籍自体だけではなく、それに関連した周辺ビジネスへのシナジーと考える。そういったことを組み合わせることで、衰退産業は成長産業に変えられるのです。
昨日聞いた話は、目からウロコの連続でしたが、実際に自分がそんな出版業を立ち上げてやってみたらどうなるのか。投資だけではなく、今度はビジネスの世界で「人体実験」したくなってきました。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年1月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。