キュレーションを合法的に提供する方法

毎日新聞は、1月20日に『記者の目:DeNAまとめサイト問題』と題する署名記事を掲載した。DeNAの医療情報サイトWELQには著作権と正確性の問題があったと指摘したうえで、「今回の問題を契機に発信側の努力を期待したいが、ネット情報のすべてが信頼できるようになるかといえば、現実的には難しいだろう。」として、一見有用と思われる情報でも反射的に拡散しないようにと、利用者に注意を呼び掛けている。

それでは、発信側の努力とは具体的にはどのようなことを指すのだろうか。知的財産に関する科目で実施した期末試験の際、学生(経済学部生)に意見を求める筆記問題を出した。

キュレーションには知識を集約して提供するという価値があり、合法的に提供し続けてほしいというのが学生の共通意見であった。そのうえで、合法的に提供するためのアイデアとして、主に記事の品質管理について提案があった。

第一は、ライターの氏名表示。もちろんペンネームでも構わないが、記事に署名を付けることによってライターが選別されていくのを期待しての意見であった。

第二は、引用は引用であると表示すること。どこから情報を持ってきたかを記事中にリンクで表示させるようにライターを指導する。投稿されたら直ちにアップするのではなく、「コピペルナー」のようなコピー発見ツールにかけてから記事をアップする。また、勝手に利用されたと考えた人が苦情を申し出る窓口を設けるという対策も提案された。これらの提案は、著作権侵害は許さないという意思をライターに伝える提案である。

第三は専門家によるチェックであった。これには、医療に関するキュレーションなら医療系の企業と提携して提供するのがよい、といったアイデアも含まれる。

ネットに知識があふれる時代だからこそキュレーションの重要性は高まっている。DeNAの失敗によって国内のキュレーションがすべて廃止されることにならないように、採用可能なアイデアはたとえ費用が掛かっても実施してほしい。