「デジタル教科書」で、日本の教育は大きく飛躍する - 眞子裕介

アゴラ編集部

私は「デジタル教科書」に賛成です。

バラマキではないかとのご指摘もありますが、“「デジタル教科書」を活用した教育”が“現在の教育レベル”より向上し、子供たちの教育への投資効果が得られるのであれば、みなさんにもご納得いただけるはずです。

つまりは「デジタル教科書」の賛否は、実物次第ということになりますよね。

そこで、みなさんは「デジタル教科書」をどのように想像されているでしょうか?
私は、「動画を主とした解説の部分」と、「問題集の部分」の二つに分けて想像しています。


「動画を主とした解説の部分」とは何かについて説明する前に、教科書と授業の位置づけについて確認しておきたいと思います。

教科書には、学生が学ぶべきことが書かれています。
学生に教科書を読み解く読解力があれば、授業を受ける必要はなく、教科書を読んでおけばいいのですが、実際は、学生に読解力が不足しているために、授業において解説が必要になります。
つまり、学生には解説が必要なのです。

教科書=学ぶべき内容
授業=教科書の解説

私が想像する「デジタル教科書」の「動画を主とした解説の部分」とは、これまで先生が行ってきた授業そのものです。

最近、池上彰さんの解説がわかりやすいと評判になっています。私も勉強になるところがあり、毎回録画して欠かさず見ています。
この池上彰さんのようなわかりやすい解説が動画として保存されていて、いつでも見れる状態になっているものだといえば、そのメリットがお分かりになるのではないでしょうか?

これにより、先生の説明をノートに書き写すことが「授業」ではなくなります。
教科書に書いていることを、先生が黒板に写し、それを学生がノートに書き写しているのが授業では、あまりにも悲しい。
まるで伝言ゲームです。

「デジタル教科書」の登場でこの伝言ゲームが大幅に改善されます。
持ち運び可能で、いつでも再生できる「授業」があれば、聞き逃したことや、わかりにくいところは何度でも確認することができます。また、レベルが低い先生に当たるリスクを子供に負わせることがなくなります。

つぎに「問題集の部分」とは、子供別に正解率を保存しておいて、その子供に適切な問題が出題されるアプリです。

子供たちは、それぞれ理解度が異なりますが、これまでは同じクラスで同じ問題を同じ数だけ解かせていました。
これからは子供の理解度に応じて出題される問題が変わってきますので、子供がつまずいている部分の見える化ができ、重点的な学習が可能になります。

その結果をサーバーに保存すれば全国的の学習の進捗度や理解度が把握することができ、教科書にフィードバックすることも可能になるでしょう。

「デジタル教科書」の登場によって、授業の方法が大きく変わります。
理解度・習熟度の異なる子供たちを一様なレベルで教えるというよりも、それぞれの自習を支援するという教育方法になるのです。
できない子供は、基礎を重点的に学習させることができ、できる子供は自分の気になる分野は、先へ先へ学習することができます。

また、インターネットへの接続はできなくていいと思います。確かに質の高い情報もありますが、エンターテインメントも山ほどありますから、学習の妨げになります。

みなさんがお考えの「デジタル教科書」とはどのようなものであったでしょうか?
「デジタル教科書」の現物がないため、さまざまな想像によって投資効果への受け取り方が変わってきます。

子供たちの教育レベルの向上は大人たちの責務ですし、「デジタル教科書」の未来像もその目的に沿った物でありたいものです。

眞子 裕介 (まなご ゆうすけ)
株式会社ライブドア ディレクター

コメント

  1. https://me.yahoo.co.jp/a/u540mrdbVIb5etvNTFCFUJ40iuo- より:

     私はどちらかというと井上晃宏さんの「小中学生に電子教科書はいらない」を支持します。
     ただし、眞子さんの仰るように電子教科書が教育の合理化を招き、結果的に教員の削減につながり国全体の教育費が大幅に低減されるのでしたら大賛成ですね。
     そもそも電子化(自動化)の目的とはコスト削減なのですから。

  2. makoto_1979 より:

    おっしゃっているような電子教科書が開発されればいままでの「授業」が必要ではなくなり、「学校」そのものが必要ではなくなります。

    大人数に一度に教える「学校」という大きなくくりより小さな地域主体の「寺子屋」のほうがあっているように思えます。