関西は独立せよ

池田 信夫

山口さんの記事で、大晦日のUsteream討論で出た話を思い出しました。日本の行き詰まりを打破するきっかけとして、大阪や名古屋などで起こっている「地方の反乱」が意外に大きな意味をもつかもしれないという話です。今のところポピュリズムという印象も強いが、ああいう騒ぎがあちこちで起こるのは、国政が何も変わらないことへのフラストレーションが人々の中にたまっているためでしょう。


一人あたりGDPの世界ランキングをみると、上位はルクセンブルク、ノルウェー、カタール、スイス、デンマークなど小国が多く、ベストテンのうちG7参加国は第9位のアメリカだけです。もちろんルクセンブルクやカタールなどには特殊事情があり、安易に一般化はできませんが、少なくとも国家には「規模の利益」がないことがわかります。大国は国内の地域格差を補填する必要があり、制度改革も小回りがきかないため、成長率が上がらないのです。

日本が北欧モデルを見習えといういう話もよくありますが、北欧の最大の特徴は人口が数百万人である上に、地方分権が徹底していることです。大きな政府というが、地方政府の規模は日本でいえば市町村ぐらいの非常に小さな政府です。国民負担率も地方ごとに違い、監視しやすい。日本のような大国で国民負担率を70%以上にしたら、役所の浪費で財政は破綻するでしょう。

財政赤字や年金の問題にしても、国家的規模で是正しようとすると官僚や業界団体が抵抗するので、民主党政権のように掛け声倒れになってしまう。「低福祉・低負担」の地方政府と「高福祉・高負担」の地方政府があって、納税者が「足で投票」できることが望ましい。地方政府に外交・防衛以外の機能はすべて移管し、徴税権も地方がもつ代わり、地方交付税は廃止して所得移転は行なわない。これが本当の「地域主権」です。

地方分権は、総論では反対がないのですが、各論になると抵抗が非常に強く、道州制の議論なども50年ぐらい前からありますが、何も進んでいない。小泉政権で「三位一体改革」が行なわれたのが数少ない例外ですが、地方が霞ヶ関に従属する基本的な構造は変わっていない。このような「上からの改革」では、霞ヶ関の既得権をおかさない範囲でしか分権化は行なわれないからです。

だから私が期待したいのは、大阪(あるいは近畿圏)や愛知がカナダのケベックやスペインのバスクのように分離・独立運動を起こすことです。特に関西は2府4県でみると、人口は約2000万人、GDPは82兆円で世界13位。韓国より大きな「独立国」になりえます。大阪府の橋下徹知事が各府県の知事にはたらきかけ、独立の是非を問う住民投票をやってはどうでしょうか。

もちろん今の憲法では、自治体が独立することは不可能ですが、地域の行政をすべて府県庁に一元化し、各省庁の出先をすべて地方政府に吸収すればいいのです。税はすべて地方税として税率は地方議会が決め、国政に必要な経費は地方からの「交付金」として霞ヶ関に払う。公用語も関西弁にすれば、新しい文化が生まれるかもしれません。

コメント

  1. アバター画像 nippon5050 より:

    明けましておめでとうございます。

    いいアイデアです。わたしも全く同じ考えです。
    関西に限らず、それぞれの地域がほとんど独立国並みの権限をもち(独自通貨を発行できるくらいに)自己責任で運営すれば、自分達の利益を最大化する為に積極的に経済を自由化するでしょう。
    勿論そうでなくても構わない。自己責任ですから、社会主義の地域があってもかまわない。
    人々がどこに住むか自分で決める自由が担保されていれば、それぞれの地域が独自の政策をして構わないと思います。

    地域の経済格差を通貨の格差にすれば地方から都市部に『輸出』できますから、カントリーリスクの高い中国ばかりに製造業も投資が集中しないで済むようになるでしょう。
    農業の強い地域は市場を世界に求めるようになるでしょう。
    駄目な地域からは人々が流出してしまうので政策担当者は自分達の地域を良くする為に最大限努力するでしょう。
    都市部からの交付を当てに出来なくなれば全く違った行動に出るでしょうし、都市部も人々を惹きつける為に都市部同士で競争するでしょう。
    そして日本は天皇陛下に明確に国家元首になっていただき、連邦化すればよいと思います。
    外交と軍隊は中央政府で独占するにしても、それ以外は極力それぞれの地域に任せるべきと考えます。

  2. アバター画像 hogeihantai より:

    究極の地方分権とは独立国家です。池田さんは外交、防衛は例外とされていますが、私は外交、防衛も含めた完全な独立主権国家の方が更に効率的に機能すると思います。仮に中央政府が外交を担うとした場合、例えばTPP加盟は地方によって利害が大きく異なるのに、どういう外交交渉が考えられますか。中国との距離のとり方も、中国人観光客を経済自立の梃子にしたい沖縄と、中国に脅威を感じる他地方とは異なるかもしれない。ロシアに対しても、領土問題を抱える北海道と上越地方の利害は異なります。

    防衛に対しても中央政府に委託するより米軍に依存するほうが安上がりで効果的と考える地方があってもおかしくない。地方分権の理想は独自の通貨を持つEUではないでしょうか。民主主義、自由主義経済という価値観を共有した経済共同体を構成し、安全保障はNATOの様な米国を含めた集団安保体制とする(加盟しないのも自由)。日本語という共通の言語があれば日本人というアイデンティティも保たれる。天皇は京都に転居し江戸時代までの役割を担ってもらえばよい。

  3. アバター画像 akira2005 より:

    話としては面白いけど、現実的には無理でしょう。でも唯一独立可能な都道府県はひとつだけあります。それは東京都です。東京都が独立すれば良い。

    どこかに首都移転をし、東京だけが独立する。それは現実として可能です。首都機能という身包みを強引にでもはいでしまえば、都知事なら誰でも独立という話になるでしょう。

    霞ヶ関も首都移転し、東京独立となれば崩壊するしかありません。