周波数オークション早期実現のために

山田 肇

総務省に設置された周波数オークションに関する懇談会は、相変わらずの小田原評定である。これでは、いつになったら法案が準備できるか心配だ。一方で、「周波数オークションに関する“ウラ”懇談会~“電波利権”を暴く!」は第1回が14065人の、第2回が20044人の来場者を得て、ネットピープルの間では次第に関心が高まっているようだ。

周波数オークションはほとんどすべてのOECD諸国をはじめ、多くの国々で実施されている、現状の比較審査方式では不可能な、電波の経済的価値を反映する免許割当方法である。しかし、わが国では既存勢力を中心に周波数オークションへの反対論が強く、依然として実現のめどが立っていない。

この周波数オークションに関する情報を提供する目的で、情報通信政策フォーラムのウェブサイトからリンク集を提供している。この数カ月の間に発表された論文・記事などの情報を追加・更新したので利用してほしい。

興味深いのは、KDDI総研が発行する雑誌「Nextcom」が特集を組んだことだ。周波数オークションの制度設計に関する論文と、世界各国での導入状況に関する調査結果が掲載されている。通信事業者の研究所からこのような特集が出たことは、世の中が変わる前触れかもしれない。

山田肇 - 東洋大学経済学部