昨日、ブロゴスで、考えさせられる記事を見つけ、読んだ。実に後味の悪いものであった。多くの若者、特に人生これからという20代の若者の自殺が増えていると言うのである。
そして、こういう描写に触れると、票になりそうにない問題に対する政治の無関心と、省益、局益の拡大に繋がらない話に対する行政の冷淡さに改めて義憤の念を抱く。
露骨に言えば、指を咥え傍観するのではなく、何とかしろよ!と思うのである。
「全年齢全原因」の自殺率も1.8倍に増えているのですが、「勤務問題」による自殺率はどの年齢層もその2倍程度増加しています。この6年間で労働環境は、すべての年齢層で急激に悪化しているのです。とりわけ、20代はこの6年で5.14倍も「勤務問題」による自殺率が増えています。そして、増加率が一番高いだけでなく、自殺率の絶対値そのものも、20代が一番高くなっています。労働は人間にとって基本となるものですが、その労働自体がどの年齢層よりも若者の命を多く奪っているのです。
こういう好ましからざる現象の背景にあるのは、昨日の記事でも説明したが、人間は必ず失敗するように神様が作っているのにも拘らず、日本の社会制度はそれを前提としていない事にあると思う。個人の人生設計に就いても同様である。
官僚志望の若者を参照して、説明を試みる。先ず私は、官僚を志す大学生は、基本的には世の中の役に立ちたいと言う高い志を持った若者と理解している。
しかしながら、東大を優秀な成績で卒業し、エリート官庁と称される経済産業省に運良く採用されたとしても、実際の仕事と、思い描いたものとの差異に失望するかも知れない。
結果、入省3年後に退官、起業し理想を追求すると言う展開もあり得る。世の中甘くないし、天の時に恵まれず5年後会社の整理に追い込まれると言うのも想定の範囲内である。この30才の元官僚、元起業家に何の落ち度もない。寧ろ、卓越した能力と高い志を持った社会、国家の宝であると思う。
従って、こんな所で人生の落伍者になる様な事があってはならず、新たな企画で、新規事業で再出発出来る金融の道が用意されているとか、或いは、起業、会社経営の経験を評価され、大企業で新規事業の責任者としてスカウトされる様な道が、用意されてしかるべきなのである。
さて、一方、20代で仕事に行き詰まり、自殺の道を選択する若者とは一体どんなタイプであろう?
要領が悪く、不器用、そして生真面目といった人物像を想像する。まるで、日本人そのものではないか?
何時か記事に書きたいと思っているのであるが、1985年のプラザ合意以前は、そういう真面目で朴訥な人達が生き生きと職場で働いていた様に思う。当時の日本は、日本人らしい日本人の楽園であったのだ。
思い悩む若者には悪いのであるが、私は自殺など断じて行うべきではないと固く信じている。宗教的な教えによるものではない。子供の頃、父親から教えられた、身体髪膚、之を父母に受く。敢えて毀傷せざるは、孝の始めなり、を実践しているだけの話である。
余談となるが、後段の、身を立て道を行い、名を後世に揚げ、以って父母を顕わすは、孝の終わりなり、は何も出来ていない。実に忸怩たる思いである。従って、まだまだ死ぬ訳には行かず、毎日最低で3時間のウオーキングを日課としている。御蔭様で、病院や薬局とは長い事無縁の生活を続けている。
それでは、職場で色々な因子が重なり、若者が、心理的に追い詰められる展開となればどうすれば良いのであろうか?
私は、辞めれば良いだけの単純な話と思っている。
天才ブロガー、ちきりん氏は最近のブログで、実に簡単、明瞭な指針を与えてくれている。
職場の重圧に悩む若者に、2枚のイエローカードを用意すると言うのである。2枚溜まれば即退場=退職と言う実に判り易い話である。
第一は、職場、仕事が楽しいかどうか。
今一つは、仕事を通じての学びがあるか否か。
この実に単純な指針で多くの若者が救われる様に思う。
そして、大事な事は、最初の就職に若者が失敗するのは、幼児が麻疹に罹るが如く、極めて当たり前の成長のプロセスと、社会が認識する事であると思う。そうなれば、決して無駄に若者を追い詰める事はない。
そして、若者が本当に自分に合った職を見つけ出す間の経済的支援を行い、職に就く為に訓練が必要ならば、提供を惜しまないという事であると思う。
所詮、票乞食に過ぎない政治家は、欲ボケ老人の票にしか興味がなく、若者は税と社会保障費を納入するだけの対象としか見ていないのではと危惧する。
従って、社会保障の議論に際しては、終わった老人から未来を担う若者へと言うテーマが浮上すると予測する。
政治はこのテーマこそを真面目に取り上げるべきである。
朝日新聞が報じる所では、小沢議員が来年の、衆院の解散・総選挙を予測しているとの事である。
民主党の小沢一郎元代表は17日、仙台市で党所属議員が開いた会合に出席し、「自分の今までの経験から、来年は選挙がある」と述べ、2012年中に衆院の解散・総選挙になる可能性が高いとの見方を示した。
是非、若者支援を重要施策として取り上げて欲しいものである。
山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役
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