「バケツリレー式瓦礫処理」の提案

駒沢 丈治

東日本大震災から1年が過ぎた。しかし被災地の瓦礫処理は遅々として進んでいない。というのも、瓦礫を受け入れてくれる自治体が少ないからだ。

その大きな理由となっているのが、一部の人たちが唱える「放射能が心配だから」という声。私にはナンセンスに思えるが、彼らにとっては深刻な問題なのだろう。

しかしこのままでは身動きが取れず、被災地の復興は遅れるばかりだ。

そこでひとつ提案したい。「バケツリレー式瓦礫処理」はどうか。


やり方はとても単純だ。被災地の瓦礫を、現地に比較的近い地域……たとえば東北地方に隣接する栃木県と茨城県ですべて処理する。他県には一切持ち出さない。

その代わり、栃木県と茨城県のゴミを埼玉県と千葉県が処理する。さらに、埼玉県と千葉県のゴミを東京都が処理する。そのぶん溢れてしまった東京都のゴミを神奈川県と静岡県が処理する……といった具合に、十分な処理能力が確保できるまで、被災地から離れる方向にバケツリレー式、もしくはドミノ倒し式にゴミ処理を移していくというもの。

つまりどの地域で見ても、処理するのは「すぐ隣の県や市のゴミ」ということになる。これならば「放射能汚染」は拒否する理由にはなるまい。隣接する県や市のゴミが危険なほど汚染されていると決め付けるなら、自分たちもまた汚染されていると認めるに等しいからだ。

もちろん、このやり方は冗長で無駄が多い。わざわざ隣の県や市にゴミを運ぶなど、愚かなことだ。

しかし、現在のように被災地の瓦礫受け入れが進まず復興の重荷となるよりは、確実に処理できるぶんマシなのではないだろうか。

駒沢 丈治
雑誌記者(フリーランス)
Twitter@george_komazawa