日経コミュニケーションの7月号に『あらゆる通信を飲み込む 無線LANの新常識25』という特集が掲載されている。スマートフォンの普及とともに急増するトラフィックを吸収するために、通信事業者が無線LANへのオフロードに躍起になっている姿が描かれている。
無線LANのアクセスポイントからコアネットワークに向かって集線する回線を、この特集ではエントランス回線と呼んでいる。ドコモは光回線を利用しているので最大15.34メガビット/秒のスループットが得られたのに対して、MiWAXで集線しているAUでは最大4.52、DC-HSDPAを利用しているソフトバンクは3.28メガビット/秒だったという。AUやソフトバンクにはエントランス回線の改善が求められる。
一方、情報通信政策フォーラム(ICPF)の4月セミナーでは、小池良次さんが「アメリカではホワイトスペースを集線に利用している」という話をしてくれた。テレビ帯のホワイトスペースはプラチナバンドだから、もし利用すれば、エントランス回線を確実かつ高速に接続できる。
7月25日に開催するICPFセミナーでは、ホワイトスペースを通信に利用する実験をした情報通信研究機構の原田博司氏に講演いただく。原田氏の実験は端末とアクセスポイントの間をホワイトスペースで直接接続するものだが、テレビ放送への妨害可能性を最小限にするには、まずはエントランス回線に利用するほうが現実的かもしれない。直接通信では端末の保有者が動き回るので何が起きるかわからないが、エントランス回線なら通信事業者が電波妨害を避けるように設定できるからだ。
そこで、このセミナーにはソフトバンクモバイルの松本徹三氏をお迎し、コメントをいただくことにした。オフロードの拡充を急ぐ通信事業者として、原田氏の実験をどのように評価されるだろうか。
セミナーには若干の余席があるので、ぜひ、お申込みいただきたい。
山田肇 -東洋大学経済学部-