北海道選挙管理委員会が印刷した参議院選挙の選挙公報に2か所の誤りが見つかり、印刷し直すことになったそうだ。読売新聞によると、ある政党の政策主張が含まれたイラスト図部分が抜け落ち、別の政党の文章については濁点が抜け落ちていたという。
選管が校正ミスを犯したように記事は読めるが、道選管が公開しているPDFを見ればすぐにわかる通り、選挙公報は各陣営が持ち寄った図版を並べただけのものに過ぎない。それでもイラストや濁点が抜け落ちたのが、本当に、道選管の責任なのだろうか。
ところで、この記事の読者には、ぜひ上のPDFを閲覧してほしい。タブレット・スマートフォンでは読むのが嫌にならないか。もっとひどい例が、総務省サイトに掲載されている「名簿届出政党等名称等及び名簿登載者氏名一覧」である。これは、パソコンですら読むのが大変で、タブレット・スマートフォンでは絶望的である。
なんで名簿がちゃんと閲覧できないのだろう。それは、表作成ソフトで氏名一覧を作成し印刷したのち、印刷結果をスキャナーにかけてPDFファイルにしたからだ。閲覧できない名簿を公開して、総務省は恥ずかしくないのだろうか。このPDFは読み上げに対応していないので、視覚障害者が利用できないのも問題だ。国民の選挙への参加を促すのが総務省の仕事だが、これでは全く評価できないし、国民をばかにするものだ。
ところで、行政情報を公開するオープンデータ戦略が進められようとしている。政府の新たなIT戦略「世界最先端IT国家創造宣言」には、機械判読に適した形式でのデータ公開がうたわれている。国民主権の行使に直接関係する選挙情報こそ、速やかに機械判読に適した形式での公開に修正し、読めないという問題を解決してもらいたい。
山田肇 -東洋大学経済学部-