いやはや、小生、番組表をみて興奮してしまった。今週は日刊田原総一朗ではないか。月末なので、朝まで生テレビ!があるのだが、その他にもTBSラジオ荻上チキ氏のSession-22、さらにはNHKニッポンのジレンマで古市憲寿氏と対談する。まさに、若手論客への闘魂伝承ウィークではないか。
この見どころ、意義について考えてみることにする。
このコラムでもずっと書き続けているが、私は朝生がいつ終わるのか、田原総一朗氏がいつ引退するのか、大変に注目している。
かつて朝生は希望だった。田原総一朗氏は憧れだった。中学校時代に始まった朝生に、私は心を鷲掴みにされた。故・大島渚氏のように、将来同番組に出て、「バカヤロー」と叫ぶのが、10代の頃の夢の一つだった。私が意識の高い学生だった頃は、スタジオ観覧し、客席から西部邁氏に噛みつき、宮台真司先生に仲裁してもらうなんてこともあった。
ただ、率直なところ、番組のフォーマットが時代と合わなくなっていること、田原総一朗氏が議論を仕切れていないと感じる。番組のリニューアルと、若い司会へのバトンタッチをはかった方が良いと感じるのだ。時には、明らかに人の話を聞いていなかったり、話の振り方が強引で「田原総一朗なら、何をやってもいいのか」と思う瞬間さえあった。
私の問題意識は、過去、これらのエントリーにまとめたのでご覧頂きたい。
「朝まで生テレビ!」はいつまで続くのか?
https://agora-web.jp/archives/1475699.html
田原総一朗氏が司会を降りる日 今月の朝生は次期司会者公開オーディションである
https://agora-web.jp/archives/1531938.html
ポスト田原総一朗は津田大介か荻上チキか?他局の看板を仕事後に連れ出すテレ朝の殺気と本気
https://agora-web.jp/archives/1544829.html
今月もどうやら、朝生は放送される。少なくとも、番組は土曜の朝まで続くことが確定的になった。
ただ、今週はこれだけではない。
田原総一朗氏はTBSラジオの看板番組、「荻上チキのSession-22」、さらには、NHKのポスト朝生的番組、「ニッポンのジレンマ」に出演するというのだ。それぞれ、荻上チキ氏、古市憲寿氏と対談する。ここに、田原総一朗氏の覚悟を感じた。ニッポンのジレンマは録画だというが、そして、言うまでもなく売れっ子であり、もともとメディア出演が多いわけであるが、それでも、これだけ集中しているのには、覚悟を感じるわけである。
時はきた。それだけだ。
今年の田原総一朗氏は若手への「闘魂伝承」「闘魂注入」を積極的に行っていると感じる。その究極進化が今週だと言えるだろう。
最も注目しているのは、本日、28日(水)に放送されるTBSラジオのSession-22である。荻上チキは成長著しい名パーソナリティーである。田原総一朗氏は、人の番組にゲストで出演しても、自分が司会を演じてしまうタイプである。その田原総一朗氏と荻上チキ氏の、昭和対平成のバトル。これが楽しみでならない。
田原総一朗氏は顔面に、豪速球の変化球を投げるタイプである。一方、荻上チキ氏は相手が気持ちよく打てるような、あたかもバッティングピッチャーのようにボールを投げ、気持ちよく打たせるタイプである。ただ、時にそれによって、フライを打たせて、とる器用さも持ち合わせている。田原総一朗氏が豪速球の変化球を投げているようで、あるいはフルスイングをしているようで、荻上チキ氏の掌の上で踊らされる可能性だってあるわけだ。
月曜日に、彼のラジオを観覧に行ったが、彼の眼はいつもと違った。何かが起きる、そんな胸騒ぎがする。生放送に間に合う人はもちろん、Podcastでも聴くべきだ。
そして、「ニッポンのジレンマ」への田原総一朗氏の出演。これはNHKの同番組にとって、最終鬼畜兵器とも言えるものである。朝生的な、昭和的、プロレス的番組へのオルタナティブだったはずの同番組が、朝生の司会を呼ぶとは。世代闘争、あるいは闘魂伝承に見せかけて、実は同番組の敗北宣言だと私は捉えている。
とはいえ、田原総一朗氏と古市憲寿氏の対談をセッティングするとは、同番組にとっても、両氏にとっても進退をかけたものだと言えるだろう。
私は、「ニッポンのジレンマ」については、若手論客番組を装いつつ、言いっぱなしの論、雑なつくり、若手にチャンスを与えてそうで搾取しているようにしか見えない姿勢などについて一貫して疑問を持っていたし、同番組の存在自体が「ニッポンのジレンマ」で、真面目に受信料を払っている立場からすると、一秒でも早く終わってもらいたいと思っていた。ファンの皆様は、目を覚まして頂きたい。
ただ、少しだけ見る目が変わった。同番組も覚悟をしている。番組のHPにおいても、二人の眼には真剣さを感じた。
しばらく意志を持って、無視することにしていたが、今回は録画して見ることにする。
古市憲寿氏と田原総一朗氏の対談はもう録画が終わっているようだ。荻上チキ氏の番組の方が先に放送されるわけだが、くれぐれも言いたいのは、荻上チキは古市憲寿の噛ませ犬ではないということだ。おそらく、内容面で田原総一朗氏を圧倒するのは荻上チキ氏だろう。
一方、ここで伝説を残せないと、俺たちの時代なんてものは一生、やってこないだろう。
世の中には2種類の人間しかいない。未来を待つ人間と、創るに人間である。時代をつくることができるか?
乾ききった時代の、まるで雨乞いの儀式のような、人々の、荻上チキ氏と古市憲寿氏に対する期待を感じる。
というわけで、今週の一連の番組を激しく傍観することにしたい。