テスラがいかに富裕層の間で人気か見ていただいた後は、決算を振り返ってみましょう。
取引終了後に発表されたテスラの7~9月(第3四半期)決算は、非GAAPベースの純利益が1590万ドルと前年同期の9710万ドルの赤字から黒字に転じた。
充電すべきは、GAAPベースの業績か。
(写真:ブルームバーグ)
GAAPベースでの赤字幅が予想より大きかっただけでなく、販売台数でもツチがついた。「モデルS
10~12月期の非GAAPベースでの利益につき、テスラは「7~9月期並み」と予想。キャッシュフローも収支とんとんを予想しており、さらなる改善を見込んだマーケットの期待に反する結果となった。
カリフォルニア州で実施されているゼロ・エミッション車(ZEV)規制を通じた他自動車メーカーの支払いを除く粗利益率は21%。1~3月期17%、4~6月期の14.8%から大きく改善している。その上でテスラは、
以上の結果を受け、株価は一時12%も急落を演じました。アナリストの評価はといいますと。
バークレイズのアナリストであるブライアン・ジョンソン氏は、販売台数に焦点を当て「予想より鈍い伸びで、株価は足元数ヵ月間にオーバーシュートしていたと判断できる。株価は141ドルくらいが妥当ではないか」と指摘していました。時間外取引では引け値から22ドル安の154ドル程度まで下落していたことを踏まえると、さらなる下値を見込んでいます。反対にR.W.ベアードのアナリストであるベン・カロ氏は、株価急落に対し「粗利益率の改善が無視されている」と論じていました。時間外取引の急落が利益確定の売りという声も聞かれております。
いずれにしても正確にバリュエーションを測れるのは、この方の右に出る者はいないでしょう。8月13日付けのCNBCでこんな見方を明らかにしていたイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)、興味深いことに年初来から350%以上も急騰してきた株価に対し「実のところ、マーケットは寛大だと思う」と発言していたんです。
株価急落は、想定の範囲内?
(写真:Getty )
今後の注目点は2つ。
カリフォルニア州で実施されているZEW規制の恩恵から、テスラはZEVの販売台数目標に達しない自動車メーカーからクレジットを移転する代わりに支払いを受け取り、売上に役立てています。テスラは2012年10月1日から13年9月30日までに1311.52ものクレジットを移転したとされ、2位のスズキの32倍に及びました。しかし、カリフォルニア州は規制を改訂する見通し。2015年からは「モデルS」を通じたクレジットが40%削減するといいます。
そうなると、気になるのが新型モデルの投入。テスラは2014年にスポーツ多目的車「モデルX」を販売する見通しで、「モデルS」のハッチバッグの価格7万3000ドル(715万4000円)からの設定になるそうです。SUVより、俄然注目が集まるのが入門EVの販売。4万ドル(392万円)からスタートと観測されており、プリウスの5人乗りを超える設定ながらBMWの「i3」シリーズの4万5300ドル(441万円)以下とあって、販売テコ入れとなる期待が大きいんですよね。2014年の具体的戦略は10~12月期決算で発表といいますから、来年早々までお預けなのが難点ですけど・・。
長くなってしまいますが、高級車部門の決算はイマイチな内容が目立ちます。BMWが5日に発表した7~9月(第3四半期)決算では、売上高が0.4%減の188億ユーロ。
フォルクスワーゲン傘下アウディも、7~9月期の純利益は前年同期比18%減の9億5400万ユーロ。売上高も7.2%減の117億3000万
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2013年11月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。