『もしもしにっぽん』裏話 ~ マンガ編 --- 中村 伊知哉

アゴラ

きゃりーぱみゅぱみゅさん主演の「もしもしにっぽん」。
 
クールジャパンを発信する番組です。NHK worldで海外に英語で発信するとともに、国内にはBSフジで日本語放送し、ネットでも配信するという画期的メディアミックス。

ぼくもポップカルチャー発信とメディア融合の掛け算プロジェクトとして協力することとし、ICHIYA’s POP EYEというミニコーナーを担当しています。学生たちとネタを企画しながら、できるだけベタなネタを、できるだけベタに、話します。


つたない英語で悪戦苦闘の収録をするのですが、もちろん全部オンエアされるわけではありません。プロの手で大幅カットはあたりまえ。でも、もったいないので、ネタ帳として作ったものを、並べていきます。世界の人たちへの情報として、適切かどうか。そんなんじゃダメだ!とされれば、改善していきますんで。

まずは、「マンガ」の巻。

日本のマンガを読んだことありますか?

日本のマンガは海外でも人気があります。

日本では、出版物の数の64%がマンガです。出版物の売上の20%がマンガ。海外ではせいぜい売上の1%です。日本はマンガの国です。

マンガには全てのジャンルがあります。

スポーツ、ヒーロー、ギャグ。恋愛、学園もの、経済、歴史、政治、食べ物、サイエンス。

マンガで勉強する人も多い。ぼくも理科はほとんどマンガで学びました。

雑誌にもたくさんのジャンルがあります。子供向け、女性向け、大人向け。

日本では電車の中で大人がまんがを熱心に読んでいます。海外ではそのような光景をみかけませんよね。子どもも大人もマンガを楽しむというのが日本の特徴です。

日本の文化は、大人と子どもの線引きがあいまいです。

大人が子どもっぽいのかもしれません。

多くの人がマンガを描きます。多くの高校に漫画部があります。

年2回開催されるマンガのフェスティバル「コミックマーケット」には、とても多くのアマチュア漫画家が自分の作品を展示します。毎回、50万人の人が参加します。

そして、わずか数日のイベントだけで、売上が500億円に達します。これは日本の映画産業の収入の1/3の規模に匹敵します。

おおぜいのクリエイターとファンの存在がマンガ文化を支えているのです。

日本人は本を右から左に読みます。日本人は右手で開きます。多くの国では左手で開くでしょ。最近まで海外に輸出されるマンガは左手で開かれていました。出版社は逆向きに印刷していました。だからオリジナルのヒーローは右手で銃を撃ちますが、海外版はサウスポーでした。

しかし最近、海外のマンガファンは日本スタイルで読みたいと思うようになり、右手で読むように印刷されています。これは西洋文明ではじめて、逆向きの書物が本屋に並ぶという事態となっています。

日本のマンガを、手にとってみてください。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2014年9月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。