今日の午後は社会的養護の分野に熱心に取り組む弁護士の先生と意見交換をしてきたのですが、そこで知った杓子定規でお粗末な行政対応のお話し。
虐待などの不測の事態で緊急保護が必要になる子どもたちを預かる「一時保護所」の存在とその問題点を、以前にレポートしました。
滞在100日超え、1年以上も…「一時保護所」の子どもたちを取り巻く環境
http://otokitashun.com/blog/daily/7656/
その他、社会的養護・児童養護関連の過去記事はコチラ。
http://otokitashun.com/tag/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%9A%84%E9%A4%8A%E8%AD%B7/
(「児童相談所のしおり」より)
児童相談所と一時保護所の現状には数えきれないくらい課題があるのですが、上記記事の中で紹介したように、とにかく常に定員いっぱいかオーバー状態。
かといって、緊急保護が必要な子どもたちは待ってくれません。
そこで児童相談所は、任意の法人(社会福祉法人や医療法人)やあるいは個人(里親資格者など)に「一時保護委託」することができます。
ところがこの一時保護委託、仁藤さんとの記事に書いたように実績ある法人・個人以外になかなか委託されないなどの欠点に加えて、とにかく委託先の善意に頼り切った制度になってしまっています。
まず、委託先に支払われる「委託費」は2000円に満たない金額。
難しいお子さんを預かるという重大な責務に比べて、ほとんど気休めにしかならない金額です。
まあこの金額が高いか低いかは個人の価値観にあるとしても、なんと一時保護委託をされている期間、「子どもの交通費」が一切支給されないんです。
なぜそんなことになるのかと言うと、一時保護所で保護された児童たちは外出が原則禁止です。
これまた以前の記事で取り上げた通り、学校にいくことすらできません。
一時保護所の児童が学校に「通えない」状態は、違法じゃないってほんと?!
http://otokitashun.com/blog/daily/7878/
そのため、「一時保護状態の児童」は交通費が発生しない=一時保護先に交通費を支払う規定がない
…ということになりまして、委託した一時保護先から学校に子どもたちが交通機関を使って通う場合、それはすべて委託先がポケットマネーから出しているのが現状だそうです。
■
本当に、そんなことくらい特例でなんとかしてあげてよ…と思うのですが、「規定・前例」が絶対の行政は、柔軟な対応ができないようです。
私も自分が議員になるまで、
「行政って、すごくしっかり・きっちりしてるもの」
と思い込んでいたんですが、逆にルールを尊重するあまり、こうした「狭間に落ちる例」は枚挙に暇がありません。
ちなみに一時保護所は子どもの「私物の持ち込みが禁止」なので、何かを児童が買ったり持ち込んだりする規定や、お小遣いをあげる仕組みがありません。
そのため、一時保護委託先が緊急保護されてきた子どもたちに衣類などの必需品を買ってあげようとしても、これまた
「そのお金を支給できる規定がない」
とのことで、すべて委託先が善意で負担して買い与えているようです(脱力)。
(一時保護所には衣類など必需品がすべてある前提で制度が作られている)
交通費や衣料品代だって、ちりも積もれば山となります。
福祉分野にはこうした篤志家による「善意」で支えられる分野が付き物ですけど、以前に紹介した身元保証人の件(下記)といい、児童養護の分野には特に多いように感じます…。
今回の件も今日まで知らなかったですし、調査すればまだまだ出てくるのでしょう。
18歳と20歳…制度の狭間に落ちる「子ども」たち。大人・成人ってなんですか?
http://otokitashun.com/blog/daily/6881/
当事者や現場からの地道なヒアリングを重ねて、引き続き議会・行政に小さなことでも改善を提言していきたいと思います。
今日の意見交換では他にも様々な学びがありましたので、それらも折りを見て共有していきますね。
それでは、また明日。
おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。
twitter @otokita
Facebook おときた駿