もう一年の折り返し地点間近まで来ちゃったことに、若干絶望している駒崎です。
さて、昨日「日本再興戦略」という成長戦略が閣議決定されました。そこに僕が国家戦略特区において訴え続けてきた二つのテーマががっつり入ったので、こりゃびっくり、という状態です。
参照:日本再興戦略 具体的施策 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/2016_hombun2.pdf
(当該部分はP172)
【バリアフリー法の壁、突破】
まず一つ目は、「小規模認可保育園なのに、成人用誰でもトイレ設置を義務付ける東京都とか、どうにかして。これじゃ保育園増やせないし、待機児童減らせないよ」問題の突破です。
(詳しくはこちら「舛添東京都知事が3分でできる、効果的な待機児童対策はこれだ!」http://bit.ly/1TRoGJO )
こちらについて、国家戦略特区会議で、東京都の担当者を呼んで議論したのですが、以前に「すべての保育所」対象と決めちゃったから、新しい保育所類型(小規模保育)が昨年度出てきても、そのまま惰性で規制しちゃっていました、というオチだったので、意味ないよね、ということでやめましょう、という形になりました。
(誰でもトイレは行き過ぎですが、障害児対応自体は絶対にちゃんとやっていくべきことだ、というのは、重ねて強調したいと思います)
【医療的ケア児の通学に訪問看護を】
さらに、「医療的ケア児は、看護師が必要なんだけど、送迎バスには看護師いないし、学校にも看護師いない場合があって、義務教育すらまともに受けられないよ」問題、というのがあります。それが嫌だったら、親(だいたい母親)が学校に一緒に来てね、仕事はやめてね、というわけです。
ここに対して、僕たち全国医療的ケア児者支援協議会( http://iryou-care.jp/ )は「いや、訪問看護サービスはあるんだから、訪問看護師がついてもらえれば良いじゃん」と提案したわけです。
しかし、訪問看護というのは、その子どもの「居宅(家)」じゃないと絶対行けないよ、家以外の学校とかだったら医療保険は使えないから馬鹿高くなるよ、という制度なわけです。
それに対し僕たちは、「いや、憲法で保障された義務教育で学ぶ権利の方が大事でしょ。「居宅縛り」は国家戦略特区で緩和してよ」と、食い下がったのでした。
そうしたところ、政府の成長戦略にまで取り上げて頂き、具体的に検討していただけることになった、というわけです。今までけんもほろろで、俎上にすら乗ってこなかったので、これは歴史的な一歩です。
(まだ実現するか分かりませんが)もしこれが実現したら、これまで「学校行くには親が仕事やめて付き添うことが当然」であった、医療的ケア児をめぐる環境が、劇的に変わっていくでしょう。
【声をあげる。あげ続けること】
何でも言ってみるもんです。岩盤みたいな規制も、実は人がつくったもの。人が変えられないわけがないのです。
現場ゴリゴリの僕たちの話を丁寧に聞いてくださった、内閣府と国家戦略特区チームの皆さん、官邸の皆さん、本当にありがとうございました!
そして医療的ケア児が親同伴じゃなくても学校に行けるよう、国民の皆さん、引き続き応援して下さい。僕らも引き続きしつこくお願いしまくっていきますので。一緒に声をあげ続けていきましょう。
どんなスタートラインの子どもでも、楽しく学べ、社会に関われる社会を創るために。
どんな環境にある親でも、子育てと共に何でも挑戦できる日本であるために。
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2016年6月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。