不動産王のドナルド・トランプ候補、世論調査でなかなかリードを奪えません。20日には、選挙対策対本部長のコーリー・ルワンドウスキ氏を解任。3月に女性記者の腕をつかんで問題になった、あの方です。歴代の共和党大統領に仕えた4月にトランプ陣営に馳せ参じた戦略家、ポール・マナフォート氏との対立がまことしやかに囁かれていますが、それもむべなるかな。フロリダ州銃乱射事件後の対応をはじめ過激なスタイルは予備選でこそ注目を浴びたものの、さすがに本選前では空回りするばかりですから。
そんなトランプ候補が、起死回生を狙い注目しているはずの経済指標があります。
それは、米雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)!
米大統領選と米雇用統計、実は深〜い相関関係があるのです。
米大統領選直前までの年初来9ヵ月間のNFP平均増減数が前年のNFP平均増減数より弱い数字であれば、現職の大統領が所属する政党候補が敗北する傾向が高まります。その逆も然り。1960年以降、大統領選は14回を数え、この法則が外れたのは4回に過ぎません。
そもそも3期目就任が禁じられた1952年以降、同じ政党が3期にわたり政権を維持した例は1回のみ。2015年のNFP平均増減数は22.9万人増でしたが、年初来は15.0万人増にとどまります。過去の例だけを踏まえれば、トランプ候補に追い風が吹いてきたと言える?
NFPの項目別動向も、トランプ候補には好材料と言えるかもしれません。エネルギー政策に石油・石炭産業の再生を誓っており、米5月雇用統計・NFPでは財生部門のうち鉱業をはじめ全てが減少していましたよね。
(カバー写真:Matt Johnson/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年6月21日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。