都知事選候補者の産業政策を比較してみた

山田 肇

駒崎弘樹氏が「都知事選候補者の子育て支援政策を比較してみた」ので、僕も産業政策をチェックした。各候補が強調する福祉政策にも、東京オリンピック・パラリンピックの準備にもカネがかかる。それらを賄うために、どうやって税収を増やそうとしているか、知りたかったからだ。

増田寛也候補は「魅力あふれる東京への経済活性化・3本柱」として、「東京を世界有数の観光都市化」「国の成長戦略と連携して東京都のGDPを大幅アップ」「海外展開支援など中小企業の持続的成長を支援」を掲げている。しかし、具体策は一切ない。駒崎氏が子育て支援政策に関して指摘したとおり、「分かりやすさを優先してか、全体的にスローガンに過ぎない。」

鳥越俊太郎候補は産業政策に一切言及していない。いくら探しても、「住んでよし」「働いてよし」「環境によし」というスローガンしか見つからなかった。

小池百合子候補は違った。「スマート・シティ 世界に開かれた、環境・金融先進都市東京」を、「セーフ・シティ」「ダイバー・シティ」とともに三本柱として掲げている。国際金融特区や税優遇を活用して東京をアジアナンバー1の国際金融市場として復活させるとしているほか、フィンテックの活用、事業再生・ベンチャーファンドの育成なども謳っている。

小池候補が産業政策を打ち出せたのは、事前に準備できたからだろう。その点で、バタバタと立候補した鳥越候補と大きな差が付いた。

ところで、各候補がアクセシビリティに配慮しているかも気になった。この観点では、HTML形式でテキストがちゃんと読み上げられる増田候補と鳥越候補に対して、小池候補の公約は画像PDFで一切読み上げできない、という大きな問題が見つかった。小池候補は「ダイバー・シティ」として、高齢者・障害者もいきいきと生活できる東京を作るとしているのに、アクセシビリティという基本的事項に配慮が足りなかったのは残念だ。まだ間に合う。すぐに直していただきたい。